ヤマシタトモコ 「さんかく窓の外側は夜7」- 心霊探偵風味BL、多様性と弱者のあるべき骨太さも知らせる名作

心霊探偵風味BL、多様性と弱者のあるべき骨太さも知らせる名作

見えちゃう三角、霊能者冷川の微エロ(除霊感覚が性感と等しい!)バディホラー話が大詰めに。冷川の浮世離れ感の原因幼時体験は苛烈過ぎ。語彙ない幼い冷川が言葉を知った時、爆発的悲劇が起きていた。全体に言霊の強さ恐ろしさが描かれる。漆黒から覗く三角窓(本作では結界の象徴)から人物に魔手伸びる凝った表紙が5巻まで、6巻から白く。弱者の反撃ターン期待できる。

笑いながら追ってくるモノ、ホイップのように捩れた顔など毎巻の怪談的描写も上手い。7巻では虚無な冷川の、純粋な三角への「善意が良いことだけを招くとは限らない」言葉が切ない。愛する者と暮らし一時は幸せであったはずの「先生」が、今巻ではなぜか自らを「戒め」、憎悪の塊になり力を使い過ぎている状態に繋がる。本シリーズは霊感に限らず、多様性のあるべき姿、虐待などから世間に馴染めぬ人々の悲しさとそれでも立ち上がる力強さを描き骨太、じっくり見届けたい。(澤水月)

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