五島署「鍵掛け」啓発に力 家や車の窃盗 無施錠8割

五島つばきさんを起用したポスターを、五島署の掲示板に貼る久田副署長=同署

 自宅や車などの無施錠による窃盗被害を防ごうと、五島署が「鍵掛け」運動に力を入れている。長崎県五島市内は離島でおおらかな土地柄もあり、鍵を掛けない習慣が根強いが、空き巣や乗り物盗などの事件の8割は無施錠の現場で起きている。同署は「鍵を掛けるだけで市内の窃盗被害を大幅に減らせる」として、あの手この手で運動の浸透を図る。

 同署によると、2016~18年に認知した刑法犯総数は計289件。このうち侵入盗(空き巣など)、自動車盗、オートバイ盗、自転車盗、車上狙いの被害状況を調べると、3年間で発生した計65件の8割に当たる52件が無施錠だった。鍵を掛けていれば防げた可能性が高い。

 同署はこうした状況を受け、「カギかけんば」「ひと声かけんば」「見守りせんば」を合言葉に県警が進める「犯罪なく3(さん)ば運動」の中でも、鍵掛けに特化した運動を展開。啓発グッズを独自に作成して市内の関係機関に配ったり、巡回連絡や防犯講話で重点的に注意を促したりしてきた。

 今月から、新たに作成したポスターの掲示を開始。親しみやすさを狙い、市内にファンが多い同市出身の演歌歌手、五島つばきさんにモデルを依頼した。100枚を市内のスーパーや病院などに貼る。同署の久田庄蔵副署長は「空き巣などは未然に防止できる犯罪。地道なことだが、鍵を掛ける癖を付けて防犯につなげてほしい」と話す。

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