にっぽん丸元船長を書類送検 グアムで桟橋衝突、横浜海保

横浜港を出港する「にっぽん丸」=2018年12月18日、大さん橋

 米領グアムの港で昨年12月、商船三井客船(東京)が運航するクールズ船「にっぽん丸」(2万2472トン)が米軍施設の桟橋に衝突した事故で、横浜海上保安部は10日、業務上過失往来危険の疑いで、元船長の男性(53)を書類送検した。

 書類送検容疑は、現地時間の昨年12月30日午後9時ごろ、グアムのアプラ港で操船を誤り、同船を桟橋に衝突させた、としている。

 同保安部や国土交通省などによると、事故後の米側の検査で元船長の呼気からは現地の基準を上回るアルコールが検出された。国交省は元船長が勤務3時間前まで飲酒していたと認定したものの、同保安部は事故に飲酒の影響はなかったと判断した。海上保安庁は海外で起きた日本船舶の事故の捜査権限を持っている。

 同船は港を出る際、誤って後進したため船尾が米軍の燃料補給桟橋に衝突した。元船長は操舵(そうだ)室近くの船橋で、ジョイスティックと呼ばれるレバーを一人で操作していた。同保安部の調べに対し、元船長は容疑を認め、「ジョイスティックの操船ミスで(桟橋に)ぶつかってしまった」と供述している。

 乗客乗員計624人にけがはなかったが、船尾が大きく損傷しクルーズは現地で中止となった。3月には国交省が商船三井客船に対し、海上運送法に基づく安全確保命令を出した。

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