ホンダF1田辺TDインタビュー:旧スペックPUのオイル漏れ原因は調査中。「スペック2をできるだけ最適化して走らせたい」

 F1第5戦スペインGP初日フリー走行。ホンダ勢はマックス・フェルスタッペンの4番手を先頭に、トップ10に3台が入った。とはいえメルセデス、フェラーリの2強との差は大きく、さらにFP1ではフェルスタッペン車にオイル漏れが見つかり、パワーユニット(PU/エンジン)交換を余儀なくされた。

 やや波乱含みの出だしとなった、ヨーロッパラウンド緒戦。それでも初日を終えたホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、復調しつつあるピエール・ガスリーへの評価も含め、意外なほどに楽観的だった。

──フェルスタッペンはオイル漏れのために、予定より早くスペック2に載せ換えたということですね。
ホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):はい。パワーユニットを降ろして確認したところ、そこからのオイル漏れということが確認できました。

──コネクターが外れたのでしょうか?
田辺TD:いえ。しかし本体から漏れていることは間違いない。原因は調査中です。

──走行中に異常が出ましたか?
田辺TD:ガレージに戻って来た段階ですね。フロアにオイルがあるのが見つかった。オイルが飛び散っているのではなく、フロアに溜まっていました。それで走行を中断しました。

──漠然とした言い方ですが、大量のオイル漏れでしたか?
田辺TD:微量ではないですね。

──とはいえ目視するまでは、データ上に異常は出なかったのですか?
田辺TD:ええ。

──データ異常がなくとも、パワーユニットにダメージを受けた恐れがあるのですか?
田辺TD:ホースが緩んだとかでしたら、締めれば直ります。しかしそういう不具合では、なさそうでした。

──中国GPの(ダニール)クビアトに出たスペック1のトラブルとの関連はありますか?
田辺TD:それとは関係ないですね。今まで出たことのないトラブルです。出たことのない場所から、オイルが漏れている。

──フェルスタッペンは他にも、走行中に加速しないと訴えていました。
田辺TD:それはトルクの追従性が悪かったためで、データ設定の変更で改善できます。それ以外は、全体的にはほぼ順調でした。

──トップ2強とのタイム差は、ちょっと離れている。とはいえトップ10にレッドブルの2台とトロロッソの1台、もう1台もそう遠くないところにいます。これは、いい金曜日と言えますか?
田辺TD:そうですね。上位4台との差は今までと同じというか、残念ながら顕著に縮まっているわけではない。ですがそれほど乱れてもいませんし、まあ順当な初日だったかと。

──ロングランはメルセデスには届かないものの、フェラーリとは1分23秒辺りで拮抗しています。
田辺TD:その辺はレースで明らかになるでしょう。

──ここはなかなか抜けないだけに、グリッドポジションが重要です。
田辺TD:そうですね。チームもそこは考えてますし、スペック2を積むことでどこまで前にいけるか。できるだけ最適化して走らせたいと思います。ここまでトロロッソは特に、歯車が噛み合わなくて、本来の結果が出せないことが多かった。明日はぜひ、期待した位置に4台が行ければと思っています。

──(ピエール)ガスリーは「グリップはまだ改善の余地はあるけれども、バランスは良くなった」と言っていました。ここ数戦のガスリーはようやく調子が上向きになっているように見えますが、田辺さんも同じ印象ですか。
田辺TD:そうですね。前戦アゼルバイジャンから、すでにバランスが良くなって、安定性も増したと言っていました。信じてプッシュできるクルマになってきたと。それもあって、乗れてきているんでしょうね。

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