第八十回「バンドマンと付き合う方法教えます 其の弐」

記念すべき連載八十回。

今回も引き続き、あなたが想いを寄せるバンドマン(クズの場合)とお近づきになる方法を全力で伝授いたします。

前回は私の主観でバンドマンがついつい手を出したくなる女の子の特徴を勝手に書き殴りましたが、今回は「絶対にファンに手を出さないバンドマンの特徴と落とし方」を書きたいと思います。

ファンに手を出さない彼ら・彼女らは、大前提として“異常なまでに高いプロ意識がある”人が多く当てはまります。プロ意識が強い人は、ファンの方と演者という線引きがその人の中でかなりハッキリしています。「可愛いコだけど or タイプだけどファンだから好きにならない」とハッキリ言う人が多いですね。ですのでこういう絶対落とせないと巷で有名なタイプのバンドマンに恋をしてしまったあなたは、まずプライベートでの接近を狙いましょう。

真面目なバンドマンはファンを食い散らかすのはNGですが、真剣交際ならOKという謎のルールがございます。

えっ、それっていわゆる“プロ彼女”なのでは? と勘のいいあなたは真っ先に思ったことでしょう。そうです。この「その子さー、プロ彼女なんじゃね?」っていう女の子に引っかかるバンドマンは非常に多いです(笑)。

前回も申し上げましたがバンドマンは基本的にバカで(誉め言葉です)、しかも吐き気がするほどロマンチックなので「これって運命の出会いかも」と思わせることができたらコロッと落とせます。バンドマン・ミュージシャン・アーティストさんたちは自身の実体験をもとに作品を創りあげる方が大多数ですので、つまり「これ曲にできるわ」と思うような劇的な出会いがあると即刻恋に落ちます。

では実践です。どのようにプライベートでお近づきになればいいでしょうか。それは単純に探偵雇えよって話になってしまいますが、行きつけのバーやお店、バンドマンがプライベートでよく利用している施設や習い事にあなたが足繁く通い、万に一つのタイミングに賭けるしかありません。え〜、それって結局運じゃないですか、とお思いのあなた、運は自分で引き寄せるものです。その人への思いが強い人ほど、なぜか引きが強いのを私は何度もこの目で見てきました。絶対落とせないバンドマンを狙おうとしているならそのくらい頑張れよ。

と、あなたの想いはその程度なの? と挑発的なことを書きましたが、NGな出会い場所もあります。それは美容室やジム、エステなどのお店。そこではお声掛けするのは絶対にNGです。なぜならただでさえガードが堅い・落とせないバンドマンたちが心を赦して体や頭皮を任せる、もしくは体型維持とパフォーマンス向上のために自分を追い込んでいる時間でのお声掛けは、神経質な彼らを余計遠ざける結果になってしまうからです。すっぴんだと思うし。ここは押えるべきポイントだと思いますね。

あとはお店の人にファンだということを伝えてもいけません。お店の方々は逆にバンドマンを匿う手筈を組んでしまうでしょう。

さて、突然の出会いOKの施設は習い事が良いと思います。

たとえば趣味が陶芸教室に通うことのバンドマンでしたら(いるのかそんなヤツ)、張り込みしてどこの陶芸教室に通っているかをまず調べましょう。そして曜日・時間帯に確信が持てたら満を持してあなたも陶芸教室へ通いましょう。この時、あなたは陶芸に関しての基本的な知識及びそのバンドマンの好きな陶芸家などの情報をすでに持っていないといけません。なんならそのバンドマンのアップしたSNSの写真に写り込んでいる陶芸作品集のタイトルもチェックし、Amazonで購入しておきましょう。

そしてついに接近です。この時の最大の注意点は「絶対にそのバンドのファンだということがばれないこと」です。私のことを書いて恐縮ですが、プライベートで通っているカルチャー施設では自分が何者か特に話す必要がないので、そのレッスンの間はフラットな関係で友達になったりすることもあります。そう、それを狙うのです。この「フラットな関係」が重要なのです。

あなたはすでに陶芸に関しての基礎知識と、そのバンドマンの好きな作家の傾向などを充分に理解しているはずなので、会話も弾むことでしょう。LINE交換の段階へ行き、彼らが「実はバンドやってて」ということを自ら話し始めたらチャンスです。全く知らない素振りでその場でYouTubeやApple Musicで音源を聴き、「え、〇〇さんって凄い人だったんですね、私、何も知らなくてこんな凄い人とお話しできていたなんて」的なバンドマン上げの誉め言葉を使い倒しましょう。わざとらしいくらいでOKです。逆にここでそんなに食いつきます!? ってくらいにしないといけません。変に意識して「へ〜、そうなんですか」くらいにとどめてしまうとこれまでの努力はすべて水の泡です。

なぜこれまで身分(?)を隠していた彼が自らネタバレしたのかを考えてみるとよくわかると思います。「自分、バンドマンです」って告白することは「あなたに心を開きかけてます」のサインなのです。

そして人は自分が一番心血を注いでやっていることに対して評価してもらいたい生き物です。ここで彼のバンドに一気に興味を持ちましたという設定で挑まなければ、そのバンドマンは自分のバンドの話は二度としない、もしくはお教室を変えてしまうかもしれません。そのくらい落とせないバンドマンは実はガラスのハートの持ち主なのです。

そのバンドマンをプロファイル済みのあなたは、もうここからの展開はそれはそれは話の合う、非常に盛り上がる恋愛に発展すること間違いなしでしょう。

あとはアレですね、あなた自身が同じフィールドに立ってしまうという場合もあります。これはこれでまた話が違ってくるので詳しくは割愛しますが、芸能人と付き合うことが目的で芸能を始める人はまぁそれなりの人が多いので、そういう邪念で表現を始めるのではなく、結果的に恋人が同じ業界の人というパターンになったら素敵ですね。

今回も熱が入り、文字数が大幅にオーバーしてしまいました。さて次回は「簡単に落とせるバンドマン」について書いていこうと思います! そんなバンドマンは遊ばれるのではなく、あなたが遊んでやりましょう! ではまた次回!

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