市内に張り巡らされた地下鉄網。縦横に真っすぐ整然と延びる路線もあれば、曲がりくねったルートもある。ニューヨークの今を感じたいなら7番線に乗ってみよう。西の始発駅の再開発や、地上に出て走行する車窓からの眺めなど、街の変化を感じられる。
ハドソンヤード
大型開発ベッセルなど新名所
7番線の西の始発駅は、マンハッタン区最大級の民間開発が進んだ、ハドソンヤード。3月に開業し、大勢の人出でにぎわっている。
目玉は高さ60メートルの建造物ベッセルだ。階段が幾重にも折り重なり、下から見ても上から眺めても美しいと、SNSで話題となっている。入場は無料だが、開業間もない現在は入場希望者が殺到している。事前にサイト(hudsonyardsnewyork.com/discover/vessel)で予約して行くとスムーズ。
商業施設の5〜7階にあるニューヨーク初進出の百貨店「ニーマン・マーカス」も注目されている。おなじみの「シェイクシャック」や人気シェフ、トーマス・ケラーの店「ブション・ベーカリー」など、数多くの店が営業しており、選択肢に事欠かない。午後4時にオープンするスペイン料理をテーマにした地下のフードコート「リトルスペイン」もおすすめ。
ニュージャージーを臨む川沿いには、数十もの車両が並ぶ基地がある。電車好きの子供らに受けそうだ。
グランドセントラル
荘厳な天井フードも魅力
開業は1世紀以上前、数々の出会いと別れを見守ってきた市内きってのターミナル駅だ。現在の駅舎は修復の末、1913年に完成した。
メインコンコースの、40メートル近い高さの天井をキャンバスとした星座が壮麗だ。エメラルドグリーンの天井いっぱいに2500個の星が描かれ、星座を表す。以前は喫煙OKで、たばこのヤニが天井に付着していたが、90年代後半に大掃除をしてきれいにした。
構内は多くの飲食店が競うように展開し、繁盛している。中でも創業1世紀超の老舗「グランド・セントラル・オイスターバー&レストラン」は思い出作りにも食す価値あり。殻付きのカキにチーズやほうれん草を加えた「オイスターロックフェラー」やフライなど、カキ料理だけで数十種類ある。「マンハッタンクラムチャウダー」などのご当地メニューも味わえる。
地下のフードコートは小休憩できる座席が多い。無料のワイファイが使えるので、ノマドワーカーにもよく利用されている。
フラッシング
変わりゆく街車窓から眺める
クイーンズ区に入ると、程なくして電車は地上に出て高架を走る。車窓から眺めるマンハッタンの超高層ビル群もまた趣深い。7番線東端のフラッシングへの道すがら、そうした撮影スポットは多い。
地上に出てすぐはロングアイランドシティー。高層ビルの合間を縫うように走る電車の窓を通じ、周辺再開発の躍動感が伝わる。
東に行くほどそうしたビルは減っていき、ローカル色が強まっていく。総じてアジアや南米、東欧などの移民が多いエリアだ。駅ごとにエスニックのお店が軒を連ね、息づくコミュニティーの多様さがうかがえる。
途中途中で車両基地や、複数の線路が並走する様子が眼下に広がり、写真映えしそうな光景が続く。
東の終着駅フラッシングは中国人と韓国人のコミュニティーが共存する街。商業施設やホテルの建設が進み、活気にあふれる。フラッシング川を渡って駅を降りると、人もお店もアジアのエキゾチックな雰囲気に満ち、小旅行に出掛けた気分にさえなる。