<ひとズーム>佐世保署長・森崎辰則さん(59)「国民のため」今も胸に

森崎辰則さん

 1999年、国内で凄惨(せいさん)な殺人事件が立て続けに発生した。いずれも、警察が被害関係者の相談に適切に応じていなかったことが問題になった。「当時は『事件でなければ動けない』という対応をしていた」。非難や指摘を受け、改革を迫られた。「国民のための警察でなければならない」。その時の決意を、今も胸に刻んでいる。

 警務や刑事を中心に多岐にわたる職務に当たってきた。署長は対馬南、時津に続き3署目。県北の要となる佐世保署を任され「身の引き締まる思い。署員の力を結集し、治安を守りたい」と意気込む。

 管内ではドメスティックバイオレンス(DV)やストーカー、児童虐待など、命に関わる相談が多い。凶悪事件に発展する危険もはらんでおり「油断できない。一つずつ慎重に対応する」。米海軍佐世保基地があり、軍人による事件や事故が発生する可能性もある。「万一の際の対処に万全を期したい」と力を込める。

 佐世保での勤務は26年ぶり。「当時お世話になった人との再会や、思い出の場所を巡るのが楽しみ」と笑みを浮かべる。

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