地域の保育ニーズ掘り起こし 長崎短大が新プロジェクト

「地域の保育のニーズを掘り起こしたい」と話す(左から)陣内教授と花城教授=佐世保市、長崎短大

 長崎短大(長崎県佐世保市椎木町)は本年度から、保育人材の育成と子育て環境の向上について学内全体で研究し、地域に情報発信するプロジェクト「保育の情報発信拠点 Hopステーション」を始めた。保育士養成課程以外の多様な専門分野の教員も参加。保育に関する地域のニーズの把握と解決を目指す。

 短大は▽食物科▽保育学科▽国際コミュニケーション学科-の3学科と、保育者養成校を卒業した人などが専門性を深める専攻科を設置。保育士や幼稚園教諭といった人材を地元に送り出してきた。近年は全国的に保育士不足が深刻になり、ひとり親世帯の増加や子ども食堂の広がりなど子育て環境も変化。学長補佐の陣内敦(じんのうち)教授は「現代ならではで、十分に掘り下げられていない課題を見いだす必要が出ている」と指摘する。

 Hopステーションは、教員がそれぞれの専門分野の視点から現在の保育や子育ての課題を提起。保育の現場で障害児を援助する技術や、体を動かす機会が少なくなっている子どもたちの遊びなどをテーマに研究に取り組む。

 さらに、地域の保育者のスキルアップと潜在保育士の復職を後押しするため、学び直しのプログラム開発に必要な調査研究も計画。専攻科卒業生の特性や潜在保育士の復職が難しい背景の調査などを通じ、現場の実態に即した研修の在り方を考える。

 研究の成果や進捗(しんちょく)状況は、保育施設で働く人や行政職員を交えた情報交換会などを開いて発信する予定。5月26日にはキックオフイベントとして親子向けの絵本作家のイベントも開く。Hopステーション長で保育専攻長の花城暢一(はなしろのぶかず)教授は「短大内の横のつながりを強化し、どのように地域に貢献できるか模索したい」と話した。

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