築100年 古民家活用したカフェ開業

明治の建物を利用し趣のある「妙見茶房」

 長崎市西山本町の西山神社近くにある築約100年の古民家を活用したカフェ、抹茶・珈琲「妙見(みょうけん)茶房」がオープンした。店主の吉田俊郎さん(70)は「残りの人生を考えた時に一角(ひとかど)の人物を目指したい、自由を追求したいと思った。訪れる人にも人生について考え見つめ直す場を提供したい」と話す。

 吉田さんによると、1912(明治45)年、三菱造船所の大番頭、山田耕作氏が、くぎは一切使わず、木を凹凸に加工して組み立てる木組み工法で建てた。木造2階建て延べ約180平方メートル。9部屋のうち、和室の2部屋、洋間の1部屋の計3部屋をカフェスペースとして使用。庭園には樹齢約350年の野梅(やばい)があり、英彦山や美しい長崎の街並みが見渡すことができる。

 元九電社員で、妻の実家がある長崎で暮らす吉田さんは、空き家だった民家を約10年前に譲り受け、趣味の南画を描くアトリエや仲間との集いの場として活用。「眺めがいいこの場所で喫茶店を開いたら」という周囲からの勧めで、古希に合わせ開店できるように、約4年前から準備し、4月中旬に開業した。

 喫茶店では品質にこだわった「スペシャルティコーヒー」(菓子付き・500円)や抹茶、ビールも楽しめる。世界的な高級食器ブランド「ノリタケ」などの器や家具は、民家に残っていたものを再利用した。

 吉田さんは、お客さんとの会話を大切にしている。時に、悩み相談に発展するときも。「(訪れる人に)勉強させてもらうことが多く、自分の人生を豊かにしてもらっていると感じる。気軽に足を運んでゆっくり過ごしてほしい」と語った。

 営業時間は午前11時~午後4時まで。木曜定休。6月末まで営業し、10月ごろから再開する予定。問い合わせは吉田さん(電080.5248.7643)。

落ち着いた空間で味わう吉田さん(左)のコーヒーは格別=長崎市西山本町

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