ミュージカル俳優を目指した理由は?
昔からスポーツや勉強が得意でしたが、歌とダンスだけはいくら頑張っても苦手。子供の頃に通っていたダンス教室の先生から、「あなたはダンスだけはやめたほうがいい」と言われたほどで、歌も音程が取れないくらいでした。でも私はできることや得意なことよりも、できないことにチャレンジすることが好きだったので、歌とダンスに挑戦しようと思いました。
もう一つのきっかけは、幼いころに宝塚歌劇のショーを見たこと。ステージが放つエネルギーに衝撃を受け、ミュージカルをやりたいとずっと思っていました。
留学したきっかけは?
進路を決める時に、東京の音楽大学に行きたいと母親に相談したら、「上京するとすごくお金がかかる。留学なら学費を出す」と言われて。あわてて英語の勉強をして、ネブラスカ大学カーニー校に留学、ミュージカルシアターを専攻しました。
卒業後、オーディションを受けても落ち続けて、もう帰国しようかと考えていた時に、運良くインディアナ州の小さなシアターから声が掛かり、そこで活動していました。そのうち本場ブロードウェーに挑戦してみたくなって、ニューヨークに拠点を移しました。
ミュージカルの魅力は何ですか?
ミュージカルはショービジネスですが、そのエンタメ性とアートの中間に位置付けられる「ミディアム感」が好きです。観る人がリラックスして楽しんでくれて、でもそれだけでなく、作品の中にメッセージを入れて表現する。
渡辺さんの強みは?
歌や踊りが上手といったテクニックではなく、湧き上がるパッションをステージで伝えることが私の強みで、そういう俳優であり続けたいです。
大変なことは?
オーディションに落ち続けているとやっぱり辛くて、最初のころはよく落ち込んでいました。でも実際、周りは才能がある人ばかりで、自分が落とされた理由も納得できるので、今は開き直って次を見るようにしています(笑)。
逆にうれしいことは?
たとえオーディションに落とされても、歌って踊っているだけで楽しいです。私は「とにかくミュージカル俳優一筋」で頑張っている人とは、おそらく姿勢が違いますが、どんな時でも歌って踊っていられたら幸せです。そして、ラッキーにも親や周りの人の後押しのおかげでここまで来られたと、感謝しています。
5年後、10年後は?
近い将来には、ブロードウェーの舞台で「シカゴ」を演じたい。そのためにはエクイティー(舞台俳優などの労働組合)のメンバーにならないとオーディションへの参加が難しいので、まずはそこを目指します。
10年後には、私の母のような、母親になっていたい。でも踊って歌うことは、どこで何をしていようと、どんな形であっても、表現・発信し続けていきたいです。
『若者の日常チェック!』
**彼らは日常をどうやって過ごしているのか。
仕事場、オフの姿を追う。**