横浜在住の漫画家ヒサクニヒコさん(75)が、おならをテーマにしたユーモアあふれる絵本「マンガ絵本 やぁ失敬!」を出版した。「皮肉が効いた風刺画を楽しむ余裕を失った世の中だからこそ、1こま漫画を自由に楽しんでほしい」と願いを込めている。
ヒサさんはイラストや絵本を数多く手掛け、政治を扱った1こま漫画を雑誌などで発表してきた。しかし、近年になって休刊が相次ぎ、表現の場が少なくなっていることに危機感を抱いていたという。
「不寛容さが広がりつつある中で、このままでは文化は萎縮してしまう。1こま漫画を復権するつもりで真剣に描いた」。テーマは、例外なく誰もが日常付き合っているおなら。初版発行が今年2月で「平成31年」だったため、「おならをしなさい」という意味合いの「へーせい」にも掛けた。
作品は、政治家や軍人、社長、動物などが「やぁ失敬!」の一言とともに、豪快におならをするシーンが描かれている。ヒサさんのコメントには「軍や国のえらいさんの最シュウへー器はおそろしい本当の最後っぺになりかねない」との記載もある。
江戸時代には、おならを題材とした「放屁(ほうひ)合戦絵巻」が発行された。ヒサさんによると、当時の人々はおならを通して芸術作品に親しむ余裕があり、そのゆとりが江戸文化の礎になっていた。「漫画を読む側も、自由に発想を働かせることでいろんな情報を得ることができる。不寛容な現代社会に、おならの絵に込めたメッセージを自由に読み解いてほしい」と期待している。
A5判、オールカラー48ページ。1534円(税込み)。ネット通販のアマゾン(amazon.co.jp)で購入できる。問い合わせは、企画・編集のPtoP合同会社☎045(225)8403。