〈低山でも雨の前後は要注意!〉重さ1トンのブロックが動く鉄砲水がヤバイ! もうすぐ夏山シーズンが始まりますが、ここ数年、急な激しい雷雨が多いですよね。雨の中の登山は何かと危険が増えますが、雨が止んだら大丈夫だと思っていませんか?でもちょっと待ってください!今日歩く道はどんなところでしょうか?沢の近くを歩いたり、沢筋を辿ることはないでしょうか?今回は、そんなときに注意しなければならない鉄砲水の怖さについてご紹介します。登山中に被害に遭わないためにも詳しく知っておきましょう。

雨が止んだらラッキー!って登り始めてない?

登山の日は晴れていてほしいもの。出発する直前まで雨が降っていても、登る時に止んでくれたらラッキー!って思っちゃいますよね。

でも、ちょっと待ってください。今日の登山はどんなところを歩きますか?もしかしたら、知らないうちに『鉄砲水』の危険に晒されることになるかもしれません。

恐ろしすぎる鉄砲水とは?

鉄砲水とは、集中豪雨などで増水した水が一時的に激しく流れるもの。沢の一部に、岩や土砂、流木などで天然のダムができ水が貯まります。その天然のダムが決壊し、せき止められていた水が一気に流れ出すことで発生。

雨が降っている時はもちろんですが、雨が止んだからといっても安心はできません

1トンのブロックが動く!?鉄砲水の威力

水の力は想像以上!その威力は、水深1mほどで重さ1トンのブロックが動くこともあるほど。川の近くを歩く時は注意がしてください。

沢を渡るような登山道では、水深50cmでも流れが速いと両足に200kgの力が働くこともあり、これは大人でも簡単に流されてしまう力です。

鉄砲水がきたら大きな岩に逃げろ!

一番は、雨が降ってきたり異変を感じたらすぐに沢や川から離れること

もし川が増水してきたのを確認したら、高いところへ一目散へ逃げましょう!雨の前後に沢沿いを歩くときは、大きな岩やより高い斜面などを確認しながら登ってください。

万が一、川の中で取り残されてしまったら…流されても浮くものを投げてもらったり、複数人いるなら横一列ではなく、縦一列になって前の人の腰を支えると流されにくくなります。ですが、やはり水の流れが来る前に逃げるのがベストです。

低山でも要注意!鉄砲水が起こりやすい条件とは?

鉄砲水の発生はなかなか予測しにくいのですが、ある条件がそろえば鉄砲水はどんな山でも起こること。つまり、山の標高に関係なくどんな山でも注意が必要です。

では、発生する条件はどんなものなのでしょうか?

①山崩れが多い山

鉄砲水は土砂などでせき止められた水が一気に流れ落ちるもの。山崩れが多いと天然のダムができやすいので、鉄砲水が起こる可能性も高まります。

②雨の前後や降雨中

雨が降ってすぐには鉄砲水は起こりにくいですが、前日に降った雨が貯まっていた場合、さらに雨が降ることで鉄砲水が起こるかもしれません。天気は当日だけでなく、数日前までさかのぼってチェックしましょう。

③沢筋や枯れ沢

【沢筋】

普段から水が流れている沢(谷)は、鉄砲水が起こる可能性がある場所。前日に雨が降っていたなどした場合、沢を横切る登山道や沢沿いの登山道は、要注意です。

【涸れた沢や登山道】

平坦な登山道だと思っていたら、そこは水が枯れた川の底だったということもあります。このような場所は、大雨になると水が流れる可能性大。もちろん鉄砲水が起きる可能性もあります。

異変は早めにキャッチ。知っておこう!鉄砲水のサイン

鉄砲水に巻きこまれた時、流されずに耐えられるという考えは捨てましょう。膝上まで水がきてしまったら、大人でも流されてしまうことがあります。

一番大切なのは鉄砲水に遭わないように避けること。基本的には『雨が降ったら沢、川から離れる』です。できるだけ早く異変に気づけるように、鉄砲水のサインを知っておきましょう。

雨雲の確認

山は天気が変わりやすいもの。晴れ予報だったのに、雨に降られることもよくあります。今いる場所に雨が降っていなくても、笠雲(山頂に雲がかかっているような状態)が出ていたり、うろこ雲が空を覆っていたりする時は注意が要注意。集中豪雨ともなれば、短時間でも川は増水して危険な状態になります。

川の濁りや落ち葉

川の水が濁ってきたり、ゴミや落ち葉がたくさん流れてくる時は上流の水位が上昇している可能性が。異変に気づいたら、ただちに安全な場所に避難しましょう。

雨の前後は、いつもよりも雲や地形に注意しよう!

鉄砲水の発生の予測は難しいのですが、起こりやすい地形や天気は分かりました。雨の前後や沢がいくつか流れている斜面を登るときは、鉄砲水が起こるかもしれないということを頭に置いて登りましょう。安全な登山を楽しんでください!

© 株式会社スペースキー