◆今週末、筑波大と決戦 首都大学野球L
今週末に優勝を懸けた最終週を迎える首都大学野球リーグ。現在2位につける東海大は頂点を懸けて、首位筑波大との直接対決に臨む。令和という新しい時代に応援の先頭に立つのは今春、創部60年目の東海大応援団で初の女性団長に就任した飯島里奈さん(21)だ。「筑波大の選手の足が震えるような応援で圧倒し、優勝に貢献したい」と意気込んでいる。
◆甲子園優勝体験支えに
詰め襟の学ラン姿に、黒髪を結ったポニーテールがトレードマーク。見た目は硬派だが、飯島さんは「周りを巻き込む応援を大切にしてきた」と柔らかな表情で語る。1月の箱根駅伝で東海大の初優勝の瞬間、東京・大手町に詰め掛けたファンがどっと沸いた一体感がたまらなかったという。
応援の世界に足を踏み入れたのは東海大相模高に入学した時だ。中学時代はバレーボールに励んだものの両膝をけがして、プレー継続を断念。高校の部活紹介で演舞する応援委員会の女性団長の「先頭に立って後輩部員を束ねるたたずまい」に引かれて入部した。
サガミの応援団は約20年前に女子生徒が初めて入部し、柴清顧問(52)が「凛(りん)とした姿に憧れる生徒が増えていった」と語るように、近年ではほぼ全員が女子部員。同高応援団は「野球部専属」のため、青春時代はタテジマを応援することに没頭した。
◆女性だからこそ
東海大に入学し、これまで女子部員がいなかったという応援団の門をたたいたが、一緒に説明会に足を運んだ高校の同期からは「練習がきつい」と断られた。
「甲子園のような最高の瞬間にまた立ち会いたい」という一心で飛び込んだ男社会の応援団は、想像していたよりも険しい世界だった。
スタンドで「女のくせに学ランを着るな」といった心ない罵声を浴びせられることもあり、1年生の頃は応援団の活動にほとんど通えなかったという。
それでも勝利の喜びを味わう最前線に再び立てたのは「応援の気持ちが選手に届いた」という高校時代の原体験を支えにしていたからだ。
飯島さんは「『女のくせに』と言われてきたけど、女性だからこそできるんだって前向きに捉え、応援が好きという気持ちに純粋に向き合えるようになった」と打ち明ける。
◆72度目優勝へ
首都リーグ最多72度目の優勝には、18日からの最終週に埼玉・越谷市民球場で行われる筑波大との首位攻防戦で勝ち点を奪う必要がある。
決戦を前に、飯島さんは「横浜高校の応援は怖かった」とタテジマナインから聞いたことで、応援に一層熱が入った高校時代を思い返す。
選手と同じようにライバル校への強い対抗心を燃やしたからこそ、「サガミから続けてきた野球の応援ができる最後の1年。もう一度、選手の力になりたい」と全力でエールを送る気概でいる。