「非常事態は続いている」自殺者数減へ 横浜市が対策計画

横浜市役所

 横浜市は2019年度から23年度までの「自殺対策計画」を策定した。人口10万人あたりの自殺者数(自殺死亡率)を11.7以下にするなど、具体的な数値目標を設定。誰も自ら命を絶つことのない社会の実現を目指す。

 市健康福祉局によると、市内の自殺者数は1998年に急増。翌99年に過去最多の792人に上り、死亡率は23.3まで達した。バブル経済崩壊後に当たり、景気の悪化などが背景にあるとみられ、全国でも増加した。

 市内ではこの20年で、1万3千人超が亡くなった。近年、減少傾向にはあるが、2017年は495人で死亡率は13.3。市は「非常事態は続いている」と認識し、計画をまとめた。

 基本施策として▽地域のネットワーク強化▽悩んでいる人に寄り添い、必要な支援につなげる「ゲートキーパー」の育成▽普及啓発の推進-など5点を列挙。ゲートキーパー育成では、民生委員や相談機関の職員らを対象に研修を行い、5年間の受講者数の目標に1万8千人を据えた。

 市の特徴を踏まえ、重点施策も講じる。自殺者の4割超を40~50代が占めることから、生活困窮者の自立支援に携わる部署など庁内の連携を強め、市内企業にメンタルヘルス対策も呼び掛ける。また2割に上る自殺未遂者の退院後を支えるため、救急医療機関などとも協力する。さらに30歳未満の自殺死亡率が下がらない傾向にあるため、インターネットで相談できる仕組みを19年度中にも構築する。

 同局障害企画課は「さまざまな施策を着実に進め、自殺者数の減少につなげたい」としている。

© 株式会社神奈川新聞社