すてきナイス社長ら経営トップ辞任 粉飾の疑いは否定 

会見で粉飾決算の疑惑を否定する「すてきナイスグループ」の杉田理之新社長(右)ら=横浜市内

 決算を粉飾した疑いがあるとして横浜地検の強制捜査を受けた住宅関連会社「すてきナイスグループ」(横浜市鶴見区)は20日、約27年間率いた平田恒一郎会長兼最高経営責任者(CEO)と木暮博雄社長ら経営トップ3人が辞任する人事を発表した。同社は同日会見を開き、不正はなかったとして引責との見方を否定。「経営陣が捜査に協力する場面が増える可能性があり、意思決定の迅速化を図るための変更」と説明した。

 新社長には、事業子会社ナイスの社長を務める杉田理之取締役が同日付で就任し、木暮氏は取締役にとどまる。平田氏と日暮清副会長は取締役からも外れる。会長と副会長ポストは空席となり、6月27日予定の定時株主総会をめどに新体制の構築を目指す。

 横浜市内で開かれた会見で杉田新社長は「取引先などにご迷惑とご心配をお掛けし、おわび申し上げる」と謝罪した。その上で、粉飾の指摘に対し「資料が押収されて詳細は確認できていないが、現時点では適法と考えている」との認識を示した。

 関係者によると、同社は2014~19年3月期の連結決算で複数の子会社とペーパーカンパニーを使い、不動産の架空売買で売上高を水増しした疑いが持たれている。期間中はいずれも4~12月期までが純損失だったが、最終的には黒字に転換していた。

 この点について、同社は「不動産は年度末に引き渡すケースが多く、売り上げの計上が期末に集中するため」などと説明。一方、グループ会社内での不動産取引の実態は「いろいろなパターンがあり、答えかねる」と述べるにとどめた。

 東証1部上場の同社は、建設資材や不動産の販売などを手掛け、子会社と関連会社が92社ある。横浜地検特別刑事部と証券取引等監視委員会は16日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、本社など複数の関係先を家宅捜索した。

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