障がい者が服選びをしやすいよう配慮したネットショップがこのほど、ニュージーランドでオープンした。障がい者が知りたい情報や見たい角度の服の写真を、アイテムごとに掲載。障がいに応じ、着やすい服を選べるよう、選択オプションを用意し、顧客が検索できる機能も付いている。このような取り組みは世界初と見られ、ファッション業界の障がい者対応として参考になりそうだ。(クローディアー真理)
障がい者が失敗なく、自分らしい服が選べるよう配慮したネットショップ、「オール・イズ・フォー・オール(AIFA)」は、脳性まひで生まれつき体が不自由なグレース・ストラットンさんによって立ち上げられた。人気のNZブランドを扱い、国内はもとより、豪州、米国からの注文にも応じている。
AIFAには、通常のアパレル・ネットショップでは見つからない商品情報が掲載されている。ジッパーやボタンの有無、それらが服のどの部分に付いているか、ボタンであればどのような素材のものが幾つなのか、車いす使用者が着用した場合、どのように見えるか、車いすの車輪に絡むようなことがないかなどまで細かく説明されている。視覚障がい者にも配慮がなされ、こうした説明は音声として聞くこともできる。
これらの情報をさらに補うのが、モデル着用の写真だ。立ち姿だけでなく、座った時の前と後ろ、ボタンやジッパー、ポケットなどのクローズアップといった写真が載せられている。また商品検索・フィルター機能を使って、自分に合わない条件の商品を除外することができる。
障がい者の「アクセシブル」の向上を目指すグレースさんは「『アクセシブル』であることは、決して移動方法などの物理的なことだけに限らない。誰もが同じことを経験できるという権利も含まれる。AIFAを通して、障がい者にもほかの人同様、服のネットショッピングという経験を楽しんでほしい」と言う。
またAIFAは、ファッション界に「インクルーシブ」をもたらすよう働きかけている。AIFAはネットショップであると同時に、障がい者モデルのエージェンシーとしての役割も担う。ファッションショーはもちろん、各種メディアに障がい者の起用を促す。
ネットショップで取り扱いたいブランドには、AIFAが目指す「インクルーシブ」の価値を説明した上でアプローチ。賛同を得て、協力してもらっている。ブランド側も自社の多様性を表現できる場としてAIFAに服を提供できることの意義を高く評価している。