石木ダム全用地収用裁決 反対地権者宅地も 明け渡し求める 長崎県委員会

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 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地計約12万平方メートルについて、県収用委員会(梶村龍太会長)が、土地を明け渡すように地権者に求める裁決を出したことが22日、分かった。ダム建設に必要な全ての用地を強制的に収用することが可能になった。地権者側は反発を強めている。

 長崎県は土地収用法に基づき、地権者の同意が得られないなどの理由で買収できなかった用地計約12万6千平方メートルについて、2014~2016年に3回に分けて、県収用委に明け渡し裁決を申請。最初に申請した農地計約5500平方メートルは既に明け渡し裁決され、2015年8月までに収用されたが、事実上地権者らが占有している。

 今回新たに裁決されたのは、2015年7月と2016年5月にそれぞれ申請した計約12万平方メートルで、計画ではダム本体や貯水池などになる。13世帯が現住する宅地や公民館などの共有地を含む。

 関係者によると21日に長崎市内で収用委があり、裁決した。2017年8月までに複数回開いた審理に反対地権者の出席はなく、長崎県の立ち入り調査も拒否されていた。

 建設予定地では現在、ダムに水没する県道の付け替え道路の工事が進むが、反対地権者が連日現場で抗議運動を続けている。長崎県の本年度当初予算案には本体工事費が初めて盛り込まれた。中村法道知事は取材に「(収用委の)結果を知らず、コメントできない」と前置きしつつ、「(反対地権者の)理解を得る努力は継続して重ねていく」とした。

 事業を巡っては、反対地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟が福岡高裁で係争中。一審長崎地裁判決はダムの必要性を認め、原告の訴えを退けた。他に反対地権者らが長崎県と佐世保市に工事差し止めを求めた訴訟も長崎地裁佐世保支部で争っている。

県と佐世保市が計画する石木ダムの建設予定地。県道付け替え道路の工事が進む=川棚町