高品質ビワ「なつたより」をもっと甘く大きく 『特選』のブランド化目指す JA長崎せいひ 長崎びわ部会

収穫したビワを大きさ別に分ける森さん=長崎市千々町

 JA長崎せいひ長崎びわ部会(山崎繁好部会長)は、高品質ビワとして知られる「なつたより」をさらに高糖度化、大玉化した特選のブランド化を目指している。園地の日当たりなどを確認した上で、来年度産に向けて栽培管理の徹底も検討。部会は「産地の活性化につなげたい」としている。
 特選の特長は食べ応えと甘さ。通常のなつたよりの大きさは2L(56グラム)以上なのに対して、特選は4L(80グラム)以上。加えて糖度は13度以上と甘く「大きさと甘さ、ジューシーさを兼ね備えたものは他にない」という。
 特選のブランド化に向け本年度は、日当たりなどをクリアした園地を指定。収穫したなつたよりの大きさや糖度、食味、色つや、形などは農協職員らのチェックを受けることを特選の条件とした。合格点を得たのは、集荷作業中の現時点で10キロを上回る程度。最終的に出荷予定量の1%にも満たない見通し。出荷先は主に東京、関西方面。1キロ当たりの卸単価は約1万円と、通常のなつたよりの約4倍になると期待される。
 ビワの栽培が盛んな長崎市千々地区。斜面地が広がる森果樹園(70アール)は、特選のなつたよりを出荷できる指定園の一つ。森純幸代表は「大きさ、甘さが基準を超えても、自分が納得しなければ特選として出荷しない」と品質を重視している。
 こう話す背景には、農家を取り巻く現状がある。県農産園芸課によると、県内のビワの出荷量は1984年の4670トンをピークに減少し、2018年は767トンと約6分の1に減った。「このままでは産地自体が消滅しかねない」(山崎部会長)と危機感を抱き、2年ほど前からいかに売り込み、収益を伸ばすかを定期的に協議。その答えが1ランク上の特選なつたよりを作って評価を高めると同時に、全体の底上げをしていくことだった。
 今年の出荷が終了すれば来年度産に向けて、なつたよりに特化した肥料を使うなど新たな検討を重ねていく。山崎部会長は「再び活況ある産地にしたい。今までにないおいしいビワを作っていきたい」と話している。

なつたよりの特選サイズ(左)と通常サイズ

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