【MLB】イチロー氏“支持”は「間抜けですか?」 米でまた真の「ヒットキング」論争

マリナーズの会長付き特別補佐兼インストラクターに就任したイチロー氏【写真:Getty Images】

米ヤフースポーツで記者が議論「イチローだと言っておきたい」

 イチロー氏とピート・ローズ氏。世界一の「ヒットキング」はどちらなのか。米国では散々、議論されてきたテーマだ。イチロー氏が日米通算で世界一の4367安打(NPB通算1278安打、MLB通算3089安打)を積み重ねた一方、ローズ氏はMLB通算4256安打をマーク。当然、日本での安打数をどう捉えるかで結論は変わってくる。

 米ヤフースポーツはこのたび、公式ツイッターでハンナ・キーザー、クリス・クウィック、ティム・ブラウンという3人の記者がこのテーマについて議論する動画を公開。その中で、2人がイチロー氏を“支持”している。

 まずは、キーザー記者が「二人ともローズがヒットキングだと考えているのですよね?」と投げかけると、クウィック記者はすぐさま否定。「MLBでの成績を見てみると、それは否定し難いですね。けれど……ピート・ローズは過去に“色々”ありましたからね。それもあってか、僕としては(回答は)イチローだと言っておきたいと思います」。安打数はローズ氏が上だが、イチロー氏が「ヒットキング」だと主張。MLBから追放されているローズ氏ではなく、クリーンなイチロー氏を推したいというのだ。

 すると、ブラウン記者はこの見解に否定的な意見を明かす。「ローズの過去が彼の積み上げた安打数に影響を与えてしまっていると君たちが考えていることに、私は完全にがっかりですよ」。つまり、重要なのは安打数で、人間性や過去の“過ち”などは、「ヒットキング」論争には関係ないというのだ。

「私の気持ちとしては、それでもイチローこそが本物のヒットキングなのです」

 ところが、クウィック記者は「ティム、僕としては(ローズではなくイチローを推すのは)どちらかと言うと道徳的な理由が関わっているんです。イチローのように、過去にそういった経験がない選手を支持したいと思っていますから」と、あらためて人間性を重視していると説明。イチロー氏こそが「ヒットキング」だという考えを曲げるつもりはないようだ。

 一方で、もう1人の“イチロー支持派“のキーザー記者は「日本時代の安打数も加えれば、イチローはローズよりも多くの安打を放っていますね。けど、それが理由でイチローが真のヒットキングだと考えるべきかはわかりません。なぜなら、メジャーリーグと同じレベルではないと私も理解しているからです」と、日本時代の安打数をカウントすることは正しいとは言えないと認めている。ただ、もしイチロー氏がメジャーリーグでキャリアの全てを過ごしていたら、ローズ氏の安打数を超えられたと信じているとも言及。そして、「ピート・ローズはイチローよりも(メジャーで)多くの安打数を記録していますが、私の気持ちとしては、それでもイチローこそが本物のヒットキングなのです」と結論づけている。

 キーザー氏が最後に、“イチロー支持派”を代表して「ティム、私たち2人は間抜けですか?」と問いかけると、ブラウン記者は「その通りですよ!」とピシャリ。同じような考えの人はもちろん多いはずだが、米国内の議論でも3人のうち2人がイチロー氏を「ヒットキング」に推すという結果となっている。

 イチロー氏がコツコツと、そして、クリーンに積み重ねてきた日米通算4367本のヒットには“説得力”がある。今後も米国のファンが一目を置く記録であり続けることは確かだ。(Full-Count編集部)

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