<レスリング>ヘレン・マルーリス(米国)が今年の世界選手権を断念、東京オリンピックにかける

前進のための後退を選んだリオデジャネイロ・チャンピオンのヘレン・マルーリス(米国)

 2016年リオデジャネイロ・オリンピックの女子53kg級で優勝し、米国女子初のオリンピック・チャンピオンに輝いたヘレン・マルーリス(米国)が、負傷の回復が遅れ、6月初めのチーム・トライアル・Final X(世界選手権代表決定戦)への出場を断念。今年の世界選手権(カザフスタン)出場を見送ったことが分かった。

 NBCスポーツによると、マルーリスは昨年10月の世界選手権(ハンガリー)の1回戦で右肩を負傷して敗退。11月に手術を受け、再起を目指していたという。医師の診断では完治とのことだが、マルーリス自身の「まだ準備ができていない。(予選が)6月の下旬なら問題なく出場できた」との判断によって決めた。

 同選手は2018年夏に脳しんとうで戦列を離れ,復帰して世界選手権直前のプレーオフに勝ってハンガリーへ向かったが、初戦でフォール負け。準備不足を感じたことにより、今回はコンディションを十分に整えてマットに戻ることにしたもよう。「2020年に向けて、いいコンディションをつくる自信を持っています」とコメントしており、来年に照準を合わせた。

 マルーリスは2015年世界選手権(米国)55kg級で優勝し、階級を下げて翌年のオリンピックで優勝。2017年世界選手権(フランス)は57kg級で勝ち、3階級で世界一に輝いた。2015・17年の世界選手権は、ともに無失点での優勝だった。

 なお、チーム・トライアル・Final Xは6月8日と15日に行われ、男子フリースタイル86kg級世界王者のデービッド・テーラーや、女子76kg級世界チャンピオンのアデライン・グレイらが今年の世界選手権の米国代表を争う。

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