アンカーの旗艦RS9s登場!

選手からのフィードバックを受けてRS9をブラッシュアップ

2016年に登場したアンカーのロードバイクにおけるトップモデルがRS9だ。「プロフォーマット」=推進力最大化解析技術により、ペダリングパワーを受けたフレームが、その力を最大限バイクを前に進める力に変換できるように設計され、より正確に前に進むようにしなりをコントロール。RS9の前作であるRIS9よりも8秒で4cm進むアドバンテージを持っていた。

そんなRS9だが、チームブリヂストンの選手たちが実戦で使用するなかで改善点がでてきたという。今回発表されたRS9sは、その選手の要望を受けて改良されたマイナーチェンジモデルとなる。具体的に選手からどんな要望があったのかというと、「リヤのバタつきがもう少し改善してほしい、前後の剛性バランスアップ」というものだった。

このコメントを受けて、アンカーの開発チームはチェーンステーに改良を行った。形状は変更していないが、使用するカーボンの素材およびレイアップを変更したサンプルフレームを何本か用意して、実際に選手たちにテストしてもいフィードバックを得て、最も高い評価になる設計で製品化されたのがRS9sなのだ。この変更により40gの軽量化も達成している。

RS9s。開発は2017年から行われていた。RS9よりも40g軽量化されている
プレゼンテーションを行ったブリヂストンサイクル商品企画課村河さん

選手の要望を受けて、改善されたフレームというと高剛性化されたフレームを想像するかもしれないが、今回話を聞いたブリヂストンサイクル商品企画課の村河さん曰く

「単純に剛性を上げたり、レイアップを増やしたりしてフレームをしならなくしたわけではありません、むしろしなりを残したほうが選手の印象がよかったです。なのでしなり方をコントロールした設計になっています」

という。理論値と選手のコメントをうまく融合して、ベストなバイクを作り出してきたアンカーの開発スタイルが生んだスペシャルモデルがRS9sなのだ。

素材、レイアップに大幅な変更が施されたチェーンステー

近谷涼選手が感じたRS9sの進化

2点大きく変化を感じた。まずは上りの推進力が増している。のぼりで踏むとリヤが逃げている。たわんでいるイメージがあった。足には優しいけれど、パワーが逃げている印象があった。その点、RS9sやつはそれがかい。ダイレクト感が増した。踏んだ分進む印象。

もう1点は、のぼりでダンシングしたり平地のスプリントしたときなどはバイクが暴れたり、リヤが飛んだりすることがあった。RS9sは直進安定性が増し、走りたいラインを走れる。安定して踏み込めるし数値も上がっている。チェーンステーのアップデートが効いているんではないかと思っている。

これぞ“プロフォーマットらしさ”

ブリヂストンアンカー・RL8

RL8の生い立ちもRS8とほぼ同じ。旗艦エンデュランスロード、RL9のフレーム形状をそのままに、素材を変更してコストを下げたモデルだ。前作のRL8は、アンカーエンデュランスラインのトップモデルだった。その上位モデルとしてRL9が登場した今、新型RL8はRL9の弟分としてデビューする。前作とは立ち位置が異なるのだが、RS9と同様、RL8もRL9に近い性能を目指したという。

結果、前三角と後ろ三角のバランスを保ちつつ、旧型RL8と現行RL9のほぼ中間の剛性となった新型RL8。

「形状に担保されている走行性能はRL9から引き継いでいるので、素材でコストを抑えました。そのかわり重量はやや増えています」と植田さんが言うように、重量はフレームセットで50gほど重くなっているが(旧型1490g→新型1540g)、推進力の向上という重量増を補って余りあるメリットを手にしているという。

価格はRS8、RL8ともにアルテグラ完成車が33万5000円、105完成車25万5000円、フレームセット18万円。ミドルグレードど真ん中である。

2018シーズンにおけるアンカーのトピックの一つがカラーオーダーシステムの拡充だ。各モデルにはアンカーらしいレーシーなカラーも設定されるが、シンプルスタイルというカラーでは基本カラー、ロゴカラー、3種の表面仕上げを組み合わせてオーダーすることができる。2018モデルではその色数が増やされたのだ。

プロフォーマットで走りの深みを、カラーオーダーシステムで所有の喜びを。ここ数年のアンカーはかなりいい感じだ。

フォークも専用設計。RS8はストレートで機敏な動きを、このRL8はベンドフォークとして振動吸収性をもたせている
テーパードヘッドを採用するが、フレームは全体的に細身。曲線と曲面が多用されており、しなやかさと推進力を両立する
ダウンチューブもRSシリーズより明らかに細い。「RL9の乗り味は継承できたと思います」とは担当エンジニア
振動を吸収させるため、シートステー上部は横方向に扁平されている。しなり具合もプロフォーマットで解析したという
シートステーは緩やかなアールを描きながらトップチューブへとつながる。標準装備のタイヤは25Cだが、28Cまで対応する

走り始めた瞬間、ソフトでマイルドでふかふかのソファにでも座っているような気分になった。よくあるエンデュランスロードのそれかと思ったら、乗り込むうちに剛性感の中心には強靭な芯があり、なんとも言えない進み方をすることが分かってくる。剛性は決して高くないが、なぜかパワーが吸われている感じがほとんどない。

RS9にも共通するこの上質な味わいは個人的にかなり好み。山々が秋色に色づき始めた奥多摩湖の周りをのんびりと走ってみる。気持ちのいい自転車だ。いつまでも走っていられる。頭を空っぽにしてどこまでも走っていける。試乗後、嫌な硬さがまったくないのにパワーロスがないというプロフォーマットっぽさがありますねと言ったら、植田エンジニアが笑いながら「我々の狙い通りです」と一言。自信作なのだろう。

Spec.

__ブリヂストン アンカー RL8
シマノ・アルテグラR8000完成車価格/33万5000円(税抜)
シマノ・105完成車価格/25万5000円(税抜)
フレームセット価格/18万円(税抜)
選択可能カラースタイル:エッジスタイル2色、シンプルスタイル38色
サイズ:390、420、450、480、510、540

ブリヂストン アンカー RS8
シマノ・アルテグラR8000完成車価格/33万5000円(税抜)
シマノ・105完成車価格/25万5000円(税抜)
フレームセット価格/18万円(税抜)

選択可能カラースタイル:レーススタイル1色、エッジスタイル2色、シンプルスタイル38色
サイズ:430、460、490、520、550 __

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