ゴールと同じくらい、サッカーの醍醐味となっているのがドリブルだ。
日本のJリーグでは、ディフェンスが安易に飛び込まない“ディレイ”と呼ばれる守備が主流のため、パサーとは対照的にドリブラーが育ち難い土壌であるとも言われる。
しかしそんな厳しい環境のなかでも躍動している選手たちは確かにいる。ここでは、映像を用いながら“Jリーグ最強”のドリブラーを探していこう。
仲川 輝人(横浜F・マリノス)
昨年のブレイク以来、日本代表への初選出も期待されている仲川。
彼は身長161cmとかなり小柄であるが、それを存分に生かした敏捷性と加速度の高いドリブルでポステコグルー体制の戦術的なキーパーソンともなっている。
先週末のヴィッセル神戸戦で披露したこのドリブルもすごかった!
自陣センターサークル付近でボールを受け、ドリブルを開始。爆発的なスピードで3人を振り切ると、一瞬にしてゴール前へ迫った。
最後はわずかにコントロールが乱れボールを失ってしまったが(ダンクレイの守備もお見事)、若い頃のメッシを彷彿とさせるようなキレっぷりであった。
杉本 太郎(松本山雅)
かつてユース年代の国際大会で活躍し、柿谷、宇佐美、南野に次ぐスター候補と考えられた杉本。
プロ入り後は伸び悩んでいたがようやく結果を残し始めており、先週末には古巣・鹿島との一戦でその片鱗を感じさせるプレーを披露した。
どんな狭いエリアでも乱れない正確なボールコントロールが武器で、特にドリブラーというタイプではない杉本。
しかしこの場面では、左サイド敵陣深くでボールを奪うと、抜群の切れ味とスピードでペナルティーエリアへ。さらにダブルタッチでDFをかわし、シュートにまで持ち込んだ。
ユース時代の雄姿を知るファンであれば、きっと杉本太郎という“天才”をまだ諦めてはいないはず。ここからの逆襲に期待だ。
前田 直輝(名古屋グランパス)
前田は東京ヴェルディ出身らしく、足元の技術と向こうっ気の強いドリブルが魅力のアタッカーだ。
昨季名古屋でプチブレイクした24歳は今季、開幕からやや低調だったもののここに来て調子を上げている。
先週末には王者・川崎を相手にこのドリブル!
角度のないところであったが強気の仕掛けで2人のDFをかわし、シュートにまで持ち運んだ。
さらにもう一つ!
足裏で軸足の後ろにボールを通してドリブルを開始。前田の足元から吸い付いて離れないドリブルに川崎の選手たちは翻弄され、後半ATということもあってほぼ全ての選手が釘付けにされていた。
ジェルソン・ロドリゲス(ジュビロ磐田)
“ルクセンブルク初のJリーガー”として話題になったロドリゲス。
ただ彼はポルトガル出身で、褐色の肌が示す通りルーツは大西洋に浮かぶアフリカの島国カーボヴェルデ。カーボヴェルデといえばラーションやナニなど、ずば抜けた身体能力を持つ選手たちを生み出してきた。
ロドリゲスにもそれは受け継がれている。先週末のベガルタ仙台戦で見せたこのドリブルは、まさにその血が騒いだ形だろうか。
左サイドでボールを持ったロドリゲスは、そこからドリブルで次々とDFを抜き去る!50メートルはあろうかという距離を独走し、ゴールまで迫った。
ドリブルというとすぐに上手い選手を思い浮かべるかもしれないが、こうした単純なスピードでぶっちぎるのも爽快で気持ちがいい。
柏 好文(サンフレッチェ広島)
南米選手のように上体やステップを駆使したフェイントが魅力の柏。内よし縦よし左右両サイドよしと、変幻自在のドリブラーだ。
30歳を過ぎたが今季は開幕から非常に調子がよく、先週末の鳥栖戦でもこの妙技!
連続の深い切り替えしで鳥栖の選手をチンチンに!
さらにその後も…
相手はFWの豊田陽平であったが、股抜きでファールを獲得していた。
【関連記事】U-20W杯、「ブレイク即海外行き」もあり得る日本代表の5名
年齢があるとはいえ、日本代表の経験がないのが不思議なほど。総合的な面でいうと、現時点でJ1最高のドリブラーかも?