「社会のゆがみ」に警鐘 日本障害者協議会代表・藤井氏が講演 問題や条約を紹介

 障害者権利条約の批准に尽力し、日本障害者協議会の代表を務める視覚障害者の藤井克徳氏が26日、長崎県佐世保市内で「誰もが等しく安心して暮らせる世の中を」と題して講演し、障害者を巡る問題や条約について紹介した。

 藤井氏は、障害者を巡る問題として、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」の殺傷事件を挙げ、「(被告が)『障害者は生きていても仕方ない』という考えに至ったのは、生産性や効率性を求める日本社会のゆがみが後押ししていないか。このゆがみについて社会全体が考えるべき」と問題提起した。

 2014年に日本が批准した障害者権利条約については、締約国は「障害者に関する定型化された観念、偏見と有害な慣行と戦う」などと障害を新しい見方で捉える内容になっており、「社会に対して警鐘を鳴らす条約」と評価。障害者の実体を捉えるためには、障害のない人の暮らしぶりや、障害当事者のニーズとの比較などが物差しになると説明した。

 統合失調症などの当事者家族でつくる「ゆみはり会(佐世保地区精神障がい者家族会)」が30周年を記念し開催。約350人が参加した。

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