アジア最古 ラグビー日本発祥の地・横浜に碑を

「横浜とラグビーの歴史を発信したい」というガルブレイスさん(右)と長井さん=横浜カントリー&アスレチッククラブ

 ラグビーワールドカップ(W杯)の9月開幕に合わせ、「日本のラグビー生誕の地・横浜」を発信する記念碑の建立に、神奈川県ラグビーフットボール協会(丹治明会長)などが取り組んでいる。横浜では、アジア最古のフットボールクラブが1866年に設立されていたことが近年、判明している。同協会は「ラグビー発祥の歴史をこの地に刻みたい」としている。

 153年前に横浜に創設されたのは「横浜フットボールクラブ」。中区で現在も活動する「横浜カントリー&アスレチッククラブ(YC&AC)」の前身だ。現・横浜公園(中区)の場所に設置されたグラウンドでプレーをしていたという。当時、ラグビーは団体によってルールが異なったが、同クラブで採用されたルールは現在のプレースタイルと似ていた。

 実は、ラグビーが日本で初めて行われたのは、1899年の慶応大生らによる東京都内でのプレーである、というのが長い間の通説だった。ところが、YC&ACのクラブ歴史・文書専攻委員であるジョン・マイケル・ガルブレイスさん(72)が約10年前、横浜開港資料館(中区)で同クラブ設立を記録した新聞記事を発見。慶応大のプレーに先立つこと33年、横浜にチームが設立されていたことが判明した。

 当時、英国人が薩摩藩士に殺害された生麦事件(1862年)など、外国人排斥の動きが活発だったことから、英国軍が横浜に駐留していた。ガルブレイスさんは「クラブの設立当時はあまり衝突が起きず、兵士には時間があった。ラグビー経験者も多く、クラブができたのでは」と説明する。

 2015年には、ラグビー発祥の地である英国・トゥイッケナムの世界ラグビー博物館が同クラブをアジアで最古のラグビークラブと認めた。

 同協会はガルブレイスさんを通してこうした歴史を知り、市ラグビーフットボール協会(沼田昭司会長)などと協力してW杯を見据えた記念碑設置を決めた。20日にYC&ACで開いたパーティーの一部収益のほか、これまで募った寄付金で資金が集まった。碑は、横浜中華街(中区)内の山下町公園に設置される予定で、開港資料館の監修で横浜でのラグビーの歴史についての説明文を刻む。開幕までの建立を目指しているという。

 県ラグビーフットボール協会イベント部会長の長井勉さん(70)は「W杯を機会に横浜とラグビーのつながりを知らせたい」と話している。

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