家の未契約&未払い続くも… 元DeNA久保康友、8回3失点でチームトップ4勝目

メキシカンリーグのブラボス・デ・レオンでプレーする久保康友【写真:球団提供】

「相手打線は落ちるボールを待っていると思ったので、攻め方を変えた」

 メキシカンリーグのブラボス・デ・レオンに所属する元DeNAの久保康友投手が26日(日本時間27日)、敵地アグアスカリエンテスで行われたリエレロス・デ・アグアスカリエンテス戦に先発し、8回5安打3失点でチームトップとなる今季4勝目を挙げた。試合は12-6でレオンが勝利。20勝25敗で南地区5位をキープした。久保は11試合で4勝4敗、防御率5.56となった。

「今日は、相手打線は落ちるボールを待っていると思ったので、攻め方を変えた。多くの打球が野手の正面に飛んでくれたので助かった。被安打の割に失点が多く、無駄な四球もあったので、もっと少ない失点に抑えられるようにしたい」

 開幕戦でメキシカンリーグ初勝利を挙げた相手を、頭脳的な投球でまたもねじ伏せた。7回無失点だった4月5日の開幕戦ではスプリットを多用し、10奪三振。落ちるボールで9つの空振り三振を奪った。だか、この日は相手打線の裏をかき、スプリットの割合を減らして直球を増やし、ほかの変化球も活用。今季先発では最少の3奪三振だったが、打たせて取る投球でアウトの山を築いた。

 アグアスカリエンテスは標高約1900メートルで気圧が低く、本拠地レオンよりも球場が狭いため、打者天国といわれる。さらにこの日は空気が乾燥しており、投手にとってはボールを扱いにくい気候だったが、4月23日のレオネス・デ・ユカタン戦以来、先発では6試合ぶりの被本塁打ゼロだった。

リーグトップ26発の大砲は怪我で欠場「対戦してみたかった」

 この日は今季リーグトップの26本塁打を放っているホセ・バルガス内野手がケガで欠場。16年にブルワーズで41本塁打を放ち、ナショナルリーグ本塁打王に輝いているアセレロス・デル・ノルテのクリス・カーター内野手の23本をも上回る、年間69本ペースの長距離砲との対戦は叶わず「対戦してみたかった」と、残念がったが、21日のヘネラレス・デ・ドゥランゴ戦から中4日の登板となる中、バテることなく、97球の熱投を演じた。

 レオンでは久保をはじめ、一部選手、スタッフへの給料支払い遅れは相変わらず続いており、さらに久保は、チームが担うべき家の契約&家賃未払い問題も抱えたまま。大家の堪忍袋の緒が切れれば、いつ追い出されてもおかしくない状況が続いているが、マウンドには不安は持ち込まなかった。

 敵地ながら日本人の声援も味方につけた。アグアスカリエンテスには日本企業の自動車工場などがあり、約1200人の日本人が在住。この日は約30人の日本人が来場し、久保に声援を送った。

 これで久保は今季、投球回66回1/3、69奪三振。ともにリーグトップの座を守った。次回先発は6月1日のペリコス・デ・プエブラ戦。前半戦の登板機会は残り3試合の予定だ。また、6月12日の前半戦終了後にはオールスターがあり、投手のみ、ファン投票ではなく監督推薦で選ばれるシステム。投球回、奪三振でリーグトップを走る久保が選出される可能性も十分ありそうだ。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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