西岡剛、独立リーグ挑戦の“今”イチロー、妻の存在… 「一人だったら無理だった」

栃木ゴールデンブレーブス・西岡剛【写真:荒川祐史】

ルートインBCリーグ栃木でNPB復帰を目指す西岡剛

 NPB復帰へ、心の支えはイチローだった。阪神を戦力外になり、ルートインBCリーグ栃木でプレーしている西岡剛内野手は「イチローさんに1ミリでも近づきたい」と語る。

 阪神から引退試合のオファーも「僕は引退しません」と独立リーグでのプレーを選択。開幕戦では「1番・DH」で3安打、3打点。2戦目には独立リーグ1号を放つなど活躍を続けている。独立リーグでNPB復帰を目指す西岡の今を聞いた。

――西岡選手を突き動かすものは?

「根本は野球が好き。好きじゃないと続けられない。若い時って、寝て起きたら試合に出れた。身体が動く。それ(身体のケアやトレーニング)を怠ったわけではないが、もっとこうしておけば、もう1年、2年、3年長くやれたという反省点がある。継続というのは本当に大変です。次元が違う方ですが(イチローに)1ミリでも近づけるように頑張りたい」

――自身の現状をどう捉えてますか?

「プロ(NPB)だと、テレビの映像があって、球種のデータも完璧にあるが、(ここでは)本当に初めて対戦するピッチャーなので、対応能力というのが、本当に必要とされる。今年一年、そこ(対応すること)に集中していくという感じです」

――今年で35歳になるが年齢的にもまだまだやれる感じでは?

「やれる気持ちでいるから、野球を続けられる。マインドを変えていこうというか、20代で出来なかったことを、30代でトライしてみようと、今はやっている。何の戦いかというと、継続との戦いになってくる」

独立リーグでプレーする若手に「この環境を無駄にしてほしくはない」

――トレーニングにとつにしても、なかなかイチローのようにやり続けるのは大変なことですよね。

「だから根本の部分で、野球が好きじゃないと継続できない」

――独立リーグでプレーして、感じることは?

「夢をあきらめずに戦っている集団でもあるので、僕もパワーをもらえる。(でもここから)NPBに行けるのは年に数パーセント。ここは就職先でもなくて、本当に次、大人になる階段を昇る準備で、ここを怠った選手は、次の道に進んでも、すごく苦労すると思うんです。自分一人、野球を出来る環境なので、この環境を無駄にしてほしくはない。一瞬でもNPBを諦めたんであれば、一日でも早く社会に出たほうが、自分のためですね。自分が若いころ、もしこの環境にいたらどうなんだろう、バッサリ斬ることはできないが、ここを無駄にしている子を見るとすごく心配になりますよね。経験を積んだ人間が、ここにいるなら、ひとつでも伝えられることがあれば、気づいたことがあれば、言っていかなければと思ってます」

――具体的には?

「野球やっている時は、気持ちも集中して、結構やれる。でもユニホームを脱いだ時間の方が長い。その時間をどう使うかで差が出来てしまう。ユニホームを着てやってる練習は努力でも何でもなくて」

――NPBに戻ろうと戦っている西岡選手の背中を若い選手が観てますよね。

「相手チームもそうだし、すごく視線を感じるんです。昨年の村田さん(現巨人ファーム打撃コーチ)もそうだったでしょうし、刺激になるし、モチベーションにもなっている。この年齢で夢を追い求められる人生はありがたいです」

――食事など、栄養管理の面では?

「妻もここ(小山市)に来て一緒に暮らし、食事も管理してもらってる。再婚して凄く意識も変わった。それまでは世間のイメージ通りだったかもしれない。なんか舐めていた部分もあった。あまりにも野球人生がトントンと行ってしまって。(妻の存在は)有難い。一人だったら(独立リーグ挑戦も)無理だったでしょうね」(細野能功 / Yoshinori Hosono)

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