大雨時の情報、警戒レベルも併記へ 横浜地方気象台と県

横浜地方気象台

 横浜地方気象台と県、国土交通省関東地方整備局は29日、大雨の際に発表する情報を5段階の警戒レベルに対応させた。土砂災害や洪水に対する注意喚起の情報などに該当のレベルを併記して住民らが直感的に理解できるようにし、主体的な避難行動を促す。今後、市町村が出す避難情報にも同様の対策が取り入れられる見通しだ。

 レベル併記の対象となったのは、(1)県と気象台がおおむね市町村単位で発表する土砂災害警戒情報(警戒レベル4相当)(2)多摩川、鶴見川、相模川、酒匂川で県と気象台、国交省京浜河川事務所などが出す指定河川洪水予報(レベル2~5相当)(3)大雨特別警報(レベル5相当)や大雨警報(同3相当)、大雨注意報(同2相当)-など。

 レベル3で高齢者や障害者らに避難を求め、レベル4で全員避難。災害が発生した段階を意味するレベル5では、命を守る最善の行動が必要としている。指定河川洪水予報は、水位や状況に応じて氾濫発生や氾濫危険などの各情報に分かれており、4段階のレベルに区分された。

 県はこのほか、水位の観測データを周知している85の中小河川についても、6月中に警戒レベルを取り入れる方針だ。

 警戒レベルの導入は、昨年7月の西日本豪雨で避難勧告や特別警報などが十分に活用されなかった教訓から、政府が打ち出した対策だ。国や自治体の情報が多様で分かりにくいため、統一的なキーワードで、取るべき行動との対応関係を明確にする狙いがある。気象台は「警戒レベル4が重要だが、それを待つことなく避難行動を始めてほしい」と呼び掛けている。

 市町村による避難情報にもレベルを導入することになっており、横浜市や大和市などは6月1日から運用を始める予定。一方で「混乱を招かないよう、市民への周知を重ねてから取り入れたい」(逗子市)という自治体もあり、開始時期はばらつく可能性がある。

 避難情報については、避難準備・高齢者等避難開始がレベル3。避難勧告と避難指示(緊急)は、ともにレベル4となる。レベル5では市町村が災害発生を可能な範囲で伝えるが、「災害の発生を把握する仕組みが整っていないため、運用は難しい」との声も出ている。

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