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長崎市のグリーンツーリズム団体「やったろうde高島」の関係者らが、サンゴの保全を目的に、長崎市高島町の高島海水浴場内に「サンゴ育成装置」2基を設置した。同団体によると、同海水浴場内には少なくとも34種類のサンゴが生息しており、これだけ豊富な種類が確認できる海水浴場は珍しいという。
設置した装置は直径約2メートル、高さ約1.3メートル、重さ約90キロ。中央に電流を流すアルミニウム合金の機器があり、ドーム型の棒状の鉄で取り囲んでいる。アルミニウムが海水に溶けると電流が流れて鉄に伝わり、サンゴの骨格となる炭酸カルシウムが発生する仕組み。サンゴの成長を促す効果があるという。
東京大の鯉渕幸生准教授(沿岸環境学)、エム・エムブリッジ(広島)、日本防蝕(ぼうしょく)工業(東京)の3者が共同開発。エム・エムブリッジによると、同様の装置は沖縄県内に2カ所設置されており、高島が3例目となる。
29日は装置に2個の浮き玉(合わせて浮力約80キロ)を付け、6人がかりで約70メートル沖の水深約6メートルの地点に設置した。2基の間は約15メートル離れている。
鯉渕准教授(45)は「順調ならば2、3年で鉄の周りがサンゴでいっぱいになる」と推測。設計に携わったエム・エムブリッジの木原一禎生産・技術部担当部長(53)によると、サンゴが成長した時に、どの角度から見ても楽しめるように装置をドーム状にした。「高島のモニュメントになれば」と期待した。
資金はソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本)が社会貢献活動の一環として提供。同社の寺井光彦さん(54)は「サンゴ保全に寄与できれば」と話した。やったろうde高島の福村学会長(39)は「サンゴが増えて、より多くの人に高島へ足を運んでほしい」と願っていた。
今後は電流を2カ月に1度測定し、最適の量とされる50ミリアンペア程度に保つ。6月下旬ごろにサンゴをドーム部分に移植し、成長させていく計画だ。