県内タクシー運賃改定、初乗り500円前後 今秋にも

 県西部を除く地域で営業するタクシーの運賃が今秋にも改定されることが30日、分かった。初乗りは500円前後に引き下げられるが、運賃の加算ペースが早まるため、おおむね2キロ以上の乗車は割高になる見通し。近距離移動の需要を掘り起こしたいタクシー業界の要請を受け、国土交通省が今夏をめどに新しい料金体系を提示する。改定は、消費増税分の上乗せを除くと2007年以来となる。

 県内には料金体系が異なるエリアが三つあり、今回改定される対象は横浜と川崎、横須賀の「京浜」と、相模原や藤沢などで構成する「県央・湘南」の2地区。県西部の「小田原」は含まれない。

 改定を求めるタクシー会社は主に、初乗りの距離を現行の2キロから1キロ強に短縮し、運賃を730円から500円前後に引き下げる案を関東運輸局に提出。293メートルごとに90円の加算は250~280メートルごとに100円へと引き上げ、渋滞時などの低速走行中も加算ペースを上げる。

 現在、関東運輸局が運賃変更の妥当性や事業者の収益率を審査中。今夏をめどに新しい料金体系を複数取りまとめて発表し、事業者がいずれかを選択する形を想定している。

 県内のエリアはすべて、規制緩和の余波で供給過剰が懸念され、タクシー特措法で「準特定地域」に指定されている。運賃を変更したい場合は、地区内に拠点を持つ事業者のうち保有台数ベースで7割以上が、一定期間内に国へ要請しなければならない。

 京浜と県央・湘南地区では昨年11月~今年2月、それぞれ台数換算で90%を超える事業者が、関東運輸局に改定を要望していた。

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