大船山|見事な紅葉とミヤマキリシマの絶景!九重の大自然を味わえる山 九重連山の中でも、久住山と人気を2分する大船山。中心部からちょっと離れていることから、ちょっとがんばって歩かないとたどり着けない山ですが、紅葉やミヤマキリシマの絶景を見られることから多くの登山者が訪れます。行程は自然豊かで見どころがたくさん!その魅力と、おすすめ登山コース、温泉なども合わせてご紹介します。

大船山(たいせんざん)ってどんな山?

  • 標高: 1,786m
  • 所在地: 大分県竹田市(旧久住町)
  • 体力レベル: ★★★
  • 難易度レベル: ★★

凡例はこちらをクリック:グレーディング表(上記グレードは記事内で紹介しているコースに限ります)
九州大分県の九重連山の「大船山(たいせんざん)」。九州本島では、同じ九重連山の「中岳(なかだけ)」「久住山(くじゅうさん)」に続き3番目に高い山です。
比較的登りやすい大船山ですが、初心者向けの久住山、中岳よりも奥まったところにある事から、“その次に目指す山”として人気を集めています。

山頂には紅葉の名所「御池(おいけ)」

大船山山頂の直下には「御池」と呼ばれる小さな火口湖があります。湖の周りにはたくさんの落葉広葉樹が茂っており、秋には御池の静かな湖面に紅葉が写りこみ、日本庭園のような絶景が広がっていますよ!

山肌を彩るミヤマキリシマの絶景

九重の絶景と言えば、ツツジの一種「ミヤマキリシマ」がピンクに染め上げる山肌。大船山の尾根筋から山麓に向かう斜面はミヤマキリシマの群落になっており、尾根歩きの楽しみです。

坊がつるでテント泊もおすすめ

大船山の麓は、坊がつる湿原。坊がつるはキャンプ場にもなっているため、大自然の中、テント泊を楽しめます。
今回ご紹介する登山コースは日帰りですが、坊がつるにテントを張ってベースにし、周囲の山に登山することもできおすすめです。

大船山の登山適期は?

大船山は厳冬期でもそれほど積雪量は無いため、一年中登山できる山。最も登山者が多いシーズンは5~6月のミヤマキリシマの季節と、10月の紅葉シーズンです。
冬は軽アイゼンを用意すれば、美しい霧氷を楽しむことができますが、山頂付近はかなり気温が低下するので防寒対策は万全に。

天気も必ずチェック

GPSアプリやココヘリも忘れずに!

登山時には必ずGPSアプリなど地図の準備はしておきましょう。また、もしもの遭難時に、登山者を早く見つけ出すことに特化したサービス「ココヘリ」も登山の新常識となりつつありますよ。

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九重の大自然を満喫!「長者原コース」

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長者原登山口(80分)→雨ヶ池越(30分)→坊がつる(15分)→大船山登山口(75分)→段原(25分)→大船山山頂(25分)→段原(50分)→大船山登山口(15分)→坊がつる(35分)→雨ヶ池越(60分)→長者原登山口

九重の表玄関「長者原」から出発し、自然豊かなタデ原湿原、雨ヶ池(あまがいけ)、坊がつるを満喫するコースです。中間点の坊がつるはキャンプ、法華院温泉山荘では宿泊できるので、1泊してゆっくりと楽しむこともできます。危険な箇所はありませんが、段原から坊がつるまでの下りは滑りやすいため転倒に注意。

コース詳細

長者原登山口を出発。すぐにタデ原湿原の木道を歩きます。遠くに三俣山などの九重の山々。ワクワクする風景です。

タデ原湿原には春から夏、キスミレ、ヒゴタイ(画像の花)、ヤマラッキョウなどたくさん花が咲き乱れ、秋はススキの穂がたなびきます。

タデ原湿原を過ぎると、木漏れ日が気持ちいい広葉樹の森を雨ヶ池越へ向けてしばらく登ります。

秋は紅葉の森に!落葉広葉樹がそれぞれ鮮やかに色付き、登山道を彩ります。

森を抜けると一気に視界が広がり、雨ヶ池越到着。しばらくは、開放的な湿原の木道歩きです。

雨ヶ池は、梅雨後など雨が降った後は池になりますが、それ以外は湿原。マツムシソウや、オトギリソウ、サイヨウシャジンなどを見ることができます。

雨ヶ池越を過ぎると、坊がつるが眼下に見え、正面には大船山の姿も。

雨ヶ池越から下ると、坊がつるへ到着。しばらくは平坦な湿原の道で、のどかな風景にホッとします。ちょうど中間点、休憩取るのに最適な場所です。

坊がつるも、たくさんの山野草が咲きますが、秋のススキの穂が輝く姿がとくにきれいです。

坊がつるを過ぎると、鬱蒼とした森に入り大船山への急登がスタート。溶岩と粘土質の登山道は歩きにくく、気を使います。
ここから段原まで、今回のコースで一番キツいところなので頑張りましょう!

急登を登り上がると段原、大船山方向へ。ここからは気持ちのいい尾根道歩き。まわりの山並みを眺めながら歩くと、まるで天空の散歩道のようです。

ミヤマキリシマの季節は山肌が一面ピンクに!

最後の急登を登り上がると大船山山頂へ到着。山頂はゴツゴツとした溶岩の上、あまり広くありません。坊がつるを挟んだ向こう側に九重連山が眺望できます。

大船山の一番の絶景は、山頂直下の御池の紅葉。この絶景を見るために毎年多くの登山者が登ってきます。御池には降りることができますので、ぜひ、降りてみましょう。

静かな山を歩きが楽しめる「岳麓寺コース」

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岳麓寺登山口(60分)→牧道終点(70分)→入山公墓(70分)→大船山山頂(60分)→入山公墓(55分)→牧道始点(45分)→岳麓寺登山口

九重山の表玄関、長者原側とは違い岳麓寺登山口をはじめとする九重山の南側は、交通の便が悪いため、登る人が少なく静かな山歩きが楽しめます。とはいえ、ミヤマキリシマのシーズンや紅葉シーズンは人が多いですが、シーズンを外すと、週末でも駐車場に車数台という時もあります。

最初の1時間は牧場の中を歩くので夏は暑いですが、その後は森の中のコース。特に危険な箇所はありませんが、放牧されている牛がちょっと怖いことと、牧道の入口と出口は牛止めのための有刺鉄線を張っているので気を付けてください。

コース詳細

岳麓寺登山口を出発。舗装路を進むと、次第にあたりが開けていき、牧場らしい風景が広がります。

牧場の中を歩くので牛と遭遇することも。ちょっと怖いですが、何もしないのでご安心を。

牧道を1時間ほど歩くと、終点に到着。ここからは本格的な登山道が始まります。

森や低木の登山道を歩くこと70分。「入山公墓(にゅうざんこうぼ)」へ到着。ここは、入山公のお墓です。入山公とは、中世にこのあたり一帯を治めていた「岡藩3代目藩主中川久清」のことで、大船山を愛し何度も登り、ここを墓所としました。山好きとしては何ともうらやましいことですね。入山公は足が悪く、いつも家来に背負われて登っていたとか・・

入山公墓からすぐに鳥居ヶ窪(とりいがくぼ)と呼ばれる広い草原に出ます。ここは、入山公が藩士に軍事訓練を行わせた場所。正面には目指す大船山がそびえ、休憩におすすめの場所です。

鳥居ヶ窪からは、再び登山開始。ここから低木ばかりになるので、背後には祖母山、左の方には阿蘇などを遠くに眺めなら気持ちのいい登りになります。

鳥居ヶ窪から約70分、大船山到着。時間があれば、直下の御池に寄って帰りましょう!

立ち寄りたい周辺施設

九重連山の周囲は温泉や観光施設がたくさんあります。その中でも大船山登山の際に立ち寄りたい、おすすめ周辺施設をご紹介。

長者原登山口すぐ近く|法華院温泉別館 花山酔(はなさんすい)

長者原登山口から徒歩5分。花山酔は、九重山中の秘湯「法華院温泉山荘」の別館です。木立の中の露天風呂が人気で、九重登山後に汗を流す登山者が多く訪れます。

所在地:〒879-4911 大分県玖珠郡九重町田野260-1
電話番号:0973-79-2230
日帰り入浴料金:500円
営業時間:11:00~19:00

法華院温泉別館 花山酔

山の秘湯で汗を流そう|法華院温泉山荘

坊がつるの北西に位置する「法華院温泉山荘」は、九州では一番高いところにある温泉の山小屋。登山をしないとたどり着けない秘湯で、温泉からは大船山系の山々が一望できます。登山途中に立ち寄ることもでき、坊がつるでのテント泊の際にも利用可能です。

所在地:大分県竹田市久住町大字有氏1778
電話番号:090-4980-2810
日帰り入浴料金:500円
営業時間:10:00~21:30

法華院温泉山荘

日本一の炭酸泉!|七里田(しちりだ)温泉下湯共同浴場

岳麓寺登山口から車で20分。七里田温泉下湯共同浴場は、別名ラムネの湯ともいわれる炭酸泉で、入浴したとたん体中がシュワシュワと泡だらけになります。大船山登山の後は、日本一の炭酸泉で疲れを癒しましょう!

所在地:〒878-0202 大分県竹田市久住町有氏七里田4050−1
電話番号:0974-77-2686
入浴料金:300円
営業時間:9:00~21:00(最終受付20:30)
休館日:毎月第2火曜日

七里田温泉館 木乃葉の湯・下湯

行列のできるソフトクリーム!|ガンジーファーム

ガンジーファームは、岳麓寺登山口から車で約15分。ゴールデンミルクの生産・加工・販売を行う観光施設です。ゴールデンミルクとは、イギリスのガンジー島原産の「ガンジー牛」という珍しい牛のミルクのこと。このゴールデンミルクから作られたソフトクリームは、濃厚な味わいでおいしいと人気で行列ができるほどです。大船山登山の後は、ゴールデンミルクのソフトクリームでカロリー補給!

所在地:大分県竹田市久住町大字久住4004-56
電話番号:0974-76-0760
営業時間:9:00~17:00(年中無休)

ガンジーファーム

登山口アクセス情報

長者原登山口

【公共交通機関の場合】
JR久大本線「豊後中村駅」から九重町コミュニティバス「九重縦断線」で約50分。九重登山口花山水バス停下車徒歩5分。
そのほか、亀の井バスや産交バスなど熊本、別府、由布院からバスが出ていますが、いずれもバス本数が少ないので注意しましょう。

亀の井バス
産交バス 九州横断バス
【マイカー場合】

大分自動車道九重ICから、飯田高原中村線40号線、田野庄内線621号線を経由して約30分。
登山口周辺には、約490台の無料駐車場があります。ただし、ミヤマキリシマや紅葉シーズンは満車になりますので早めの到着を。
トイレ、登山届ボックス、自動販売機、食堂、ガソリンスタンドあり

岳麓寺登山口

提供:ヤマレコ/TTdonald

【公共交通機関の場合】
最寄りの公共交通機関はないのでマイカーでのアクセスのみ。
【マイカー場合】
https://www.google.co.jp/maps/d/embed?mid=10uke_Zg6X3PnD3HAzdskXhxTLLQ
大分自動車道玖珠ICから、国道387号 と 国道442号 経由して1時間20分。登山口周辺には約20台程度駐車可能。
登山届ボックスはありますが、登山口から山頂までトイレはありません。

久住山や中岳の次は大船山へ

国内外からたくさんの登山者が訪れる九重連山。その中でも、大船山は特に人気がある山です。九重の中心部からは外れますが、ちょっと頑張って歩いても、その分、たくさんの魅力を感じることができるでしょう。久住山や中岳の次は、ぜひ、大船山に登って見ませんか?

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。

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