架空発注で16億円水増し 京急百「契約社員と業者共謀」

京急百貨店

 京急百貨店(横浜市港南区)は31日、同社が請け負うマンション内装工事で、同社の男性契約社員(64)と下請け業者が共謀して架空発注と水増し請求を7年間、繰り返していたと発表した。架空発注は218件、水増し請求額は約16億2千万円に上り、同社は契約社員と業者の刑事告訴を検討している。

 同社によると、2012年4月から19年3月までの7年間、契約社員と業者は共謀して、内装工事で追加工事があるかのように装って架空発注を繰り返した。業者は水増し請求分を運転資金として流用し、契約社員も追加工事の注文書などを偽造する見返りなどとして計約400万円を受け取っていたという。

 また、業者は発注元の建設会社を装い、追加工事代金を京急百貨店に入金することで不正の発覚を逃れていた。同社の未回収金は約1億円という。

 同社が請け負うマンション内装の工事は実質、契約社員が1人で担当。追加工事の発注があった際も、別の社員が現場を確認するなどの作業は行っていなかった。

 同社は今年4月、内装工事の発注者である建設会社からのメールに不審な点があったことから調査。その結果、業者が建設会社になりすましてメールを送っていたことや、実体のない追加工事が受発注されていたことが発覚したという。

 同社は「管理、監督が甘く、不正を見抜けなかった。申し訳ない」と陳謝し、契約社員については社内規則にのっとり厳正に処分するとした。

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