WRC:トヨタ、第7戦ポルトガル初日にトップ3独占も「予想よりも厳しい1日」とマキネン

 2019年のWRC世界ラリー選手権に3台のトヨタ・ヤリスWRCを投じているTOYOTA GAZOO Racing WRT。5月31日に行われた第7戦ポルトガルの競技初日では、オット・タナクが総合首位につけると、総合2番手にヤリ-マティ・ラトバラ、総合3番手にクリス・ミークが続き、トヨタ陣営でトップ3を独占している。

 ポルトガルのグラベル(未舗装路)を舞台に争われているラリー・ポルトガル。競技初日はアルガニルにある森林地帯を舞台にSS1〜6までが行われた後、ロウサダにあるラリークロスサーキットを舞台にSS7が行われた。

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 ステージへの出走順2番目と、グラベルイベントではタイムを出しづらい状況で初日に臨んだタナクは、SS1でトップと4.2秒差の2番手タイムを記録。続くSS2〜3ではステージ最速タイムを記録して総合首位に立ってみせる。

 午後の走行でも、わだちが深くなるなど路面コンディションが悪化するなか、安定したタイムを刻み続け、総合首位の座を守りきった。

 2019年シーズンは苦戦が続いているラトバラは、SS2でステージ2位、SS3でステージ3位に入ると総合2番手に。午後もそのポジションを守りきった。首位とのギャップは17.3秒差、総合3番手とのギャップは5.5秒差だ。

 残るミークはインターコムに不調を抱え、コドライバーのセブ・マーシャルとハンドシグナルでやり取りしながらも、SS3を終えた時点で総合3番手まで浮上する。SS5ではひとつポジションを落としたものの、続くSS6でポジションを取り戻し、最終的にラトバラと5.5秒差まで迫っている。

 チームの指揮を執るトミ・マキネンは「我々チームにとって素晴らしい1日だったが、決して簡単だった訳ではない。むしろ、予想よりも厳しい1日だったと思う」と1日をふり返る。

「コンディションは過酷で、多くの選手がトラブルに見舞われた。それでも、ここまでうまくいっている。クルマのパフォーマンスは高く、ドライバーは自信を持って走り、この難しいコンディションにとてもうまく対応しているよ」

「しかしまだ先は長く、明日は長いステージが控えているから、皆にとって非常に困難な1日になるだろう。確かに我々は好位置につけているが、ライバルとの差はあまり大きくないから、この戦いに勝つためにはトップの座を守り続けなければならない」

 総合首位につけたタナクは「1日をとおしてクリーンな走りができたと思う。クルマのフィーリングは素晴らしく、自信を持てたから、攻めの走りができたよ」とコメント。

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)

 ラトバラは「ポルトガル北部のラリーでは今まで体験したことがないくらい気温が高かったこともあり、タイヤの摩耗に悩まされた」と明かしている。

「きっと、自分のアグレッシブなドライビングスタイルも摩耗に影響したと思う。明日はもう少し楽に摩耗をコントロールできるように、今晩対策を考えるつもりだ。現在の順位を、何とか守らなければならない」

クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)

 総合3番手につけるミークは「すぐ後方には速いライバルが迫っているが、今晩のサービスでクルマのコンディションを整え、明日も全力で戦いに臨む」と述べている。

 競技2日目となる1日はカブレイラ山脈を舞台にSS8〜13までの6SSが行われる。このうちSS10と13は全長37.6kmと今大会最長ステージとなる。

 全6SS合計の走行距離は160.70km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は622.86kmだ。

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