包丁2本2月購入か 押収箱に量販店シール、登戸児童殺傷

カリタス学園のスクールバス停留所には、児童生徒へのメッセージがくくり付けられていた=5月31日夜、川崎市多摩区

川崎市多摩区登戸新町の路上で5月28日、スクールバスを待っていた私立カリタス小学校(同区)の児童ら20人が殺傷された事件で、自殺した職業不詳岩崎隆一容疑者(51)=同市麻生区=の自宅から押収した柳刃包丁の空き箱に、大手量販店のシールが貼ってあったことが1日、捜査関係者への取材で分かった。2月に東京都町田市の量販店店舗で、同型の包丁2本が販売された記録があり、多摩署捜査本部は同容疑者が購入したものと一致するか、裏付け捜査を進めている。

 これまでの捜査で、同容疑者はともに刃渡り約30センチの柳刃包丁2本を使って、20人を次々に襲ったことが判明している。現場近くに残されていた所持品のリュックサックの中にも、刃渡り約25センチの文化包丁、同約20センチの刺し身包丁が入っていた。捜査本部は、自宅の捜索で包丁の空き箱4個を押収しており、購入先や時期の特定を引き続き進める。

 近隣住民や川崎市によると、同容疑者は両親の離婚などで、幼少時から伯父、伯母の元で暮らしていた。長期にわたって就労せず、外部との接触を断ち、伯父や伯母との意思疎通もほとんどなかったとみられる。市の勧めで伯父らが今年1月、同容疑者に手紙で意思疎通を試みた際、同容疑者は「食事も洗濯も、自分のことはちゃんとやっている」との趣旨の言葉で、自身の状況を問題視するような対応に不快感を示したという。包丁の購入はその後だった可能性がある。

 事件は5月28日午前7時40分ごろ発生。保護者の男性(39)、同小6年の女児(11)が死亡し、児童ら18人が重軽傷を負った。捜査本部はこれまで、重軽傷者は17人としてきたが、5月31日に新たに女児1人が軽傷を負っていたことを明らかにした。 

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