巨人ではON以来、400本塁打の阿部 史上19人目の大記録を達成した最強捕手

巨人・阿部慎之助【写真:Getty Images】

1日の中日戦で通算400本塁打を達成した巨人の阿部

 巨人の阿部慎之助が6月1日の中日戦で通算400本塁打を記録した。開幕時点であと1本に迫っていたから時間の問題ではあったが、史上19人目の大記録だ。

 阿部は2001年中央大学からドラフト1位(逆指名)で巨人に入団。ずば抜けた打力を買われ、1年目から正捕手になる。これは伝統ある巨人では極めて異例。以後、打っては4番打者、守っては不動の正捕手として21世紀の巨人を牽引してきた。

 2012年には首位打者、打点王の2冠、MVPに輝いた。本塁打のタイトルはないが、30本塁打以上を4回記録。2000年には44本塁打。これは捕手としては、1963年の野村克也(南海52本)、1974年の田淵幸一(阪神45本)に次ぎ、1962年の野村克也(南海44本)とならぶ史上3位タイの記録だ。

400本塁打以上の顔ぶれ ()は実働期間。■は捕手としての出場試合数

1王貞治 868(1959-1980)
2野村克也 657(1954-1980) ■2921
3門田博光 567(1970-1992)
4山本浩二 536(1969-1986)
5清原和博 525(1986-2008)
6落合博満 510(1979-1998)
7張本勲 504(1959-1981)
7衣笠祥雄 504(1965-1987) ■19
9大杉勝男 486(1965-1983)
10金本知憲 476(1992-2012)
11田淵幸一 474(1969-1984) ■944
12土井正博 465(1962-1981)
13ローズ 464(1996-2009)
14長嶋茂雄 444(1958-1974)
15秋山幸二 437(1981-2002)
16小久保裕紀 413(1994-2012)
17中村紀洋 404(1992-2014)
18山崎武司 403(1989-2013) ■8
19阿部慎之助 400(2001-2019) ■1666

 阿部は捕手として1000試合以上出場した選手では、野村克也に次ぐ2人目の400号本塁打。1988年の東京ドーム開場以降、NPB本拠地球場の大きさが両翼90メートルから100メートル、中堅110メートルから120メートルへと大型化したことを考えると、阿部の記録の価値はさらに上がるといえるだろう。

巨人での本塁打通算ランキング ※は現役

1王貞治 868本 2831試合
2長嶋茂雄 444本 2186試合
3阿部慎之助 400本 2211試合※
4原辰徳 382本 1697試合
5松井秀喜 332本 1268試合
6高橋由伸 321本 1819試合
7坂本勇人 200本 1577試合※
8柴田勲 194本 2208試合
9清原和博 185本 846試合
10川上哲治 181本 1979試合

 阿部は、現監督の原辰徳を抜いて、ON以降では最多本塁打を記録している。捕手として本塁打数2位は山倉和博の113本塁打であり、文句なしの巨人史上最強捕手だと言えよう。今季の阿部は、捕手登録に変わった。しかしまだ1度もマスクをかぶらず、代打での出場が続いている。

 3月20日に40歳になったが、現時点での打撃成績は24試合22打数7安打1本塁打5打点、打率.318、三振はわずかに2、5四球を選んでいる。勝負強い打撃は不惑になっても健在だ。ペナントレースが深まってくるとともに、阿部の経験値は貴重な戦力になってくるのではないか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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