【登戸児童殺傷】容疑者、途絶えた周囲とのつながり 「卒業後、進路も分からず」

現場には数多くの花や菓子などが手向けられた=5月29日朝、川崎市多摩区

 川崎市多摩区の登戸駅近くの路上で児童ら20人が殺傷された事件は、2日で発生から5日が経過した。直後に現場で自ら命を絶った岩崎隆一容疑者(51)の暮らしぶりは一向に詳細が見えてこない。同級生らは中学卒業後の進路を知らず、近隣住民も姿を見かけることが少なくなったと口をそろえて指摘。社会とのつながりを絶った生活が、事件の全容解明へ大きな障壁をもたらしている。

 同容疑者は地元の公立小中学校を卒業した。「手が出るのが少し早い感じはあったが、ものすごく悪い子ではなかった。中学で環境の変化に適応できなかったのかな」。小学6年時に同じクラスだった女性はかすかな記憶をたどる。

 小学校では突然教室を飛び出すなどの問題行動もあったとされるが、目立つ生徒ではなかったという。中学時代、同じクラスになったことがあるという男性は「テレビに出ている写真には見覚えがあったが、当時の印象は全くなく、卒業後の進路も知らない」。周囲の友人も同容疑者のその後を知る人はいなかった。

 同容疑者は幼いころに伯父夫妻の元へ引き取られたとされる。最寄り駅周辺の理髪店では、少年時代にいとことともに散髪に訪れていた姿が記憶されている。それからおよそ40年、事件当時は80代の伯父夫妻と3人暮らしで、一つ屋根の下にあっても会話はほとんどなかったとみられる。

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