6月3日(月)東京六大学春季リーグ戦 早大3回戦 @明治神宮球場
完封勝利を挙げ、喜びを爆発させた髙橋佑
「何が起こるかわからない」が定番のこのカード。だが今日は終始安定した試合運びで快勝を収めた。3回に犠打を絡めて作り出した得点のチャンスから下山悠介(商1・慶應)の適時打で効率よく先制し、先発・髙橋佑樹(環4・川越東)が9回を1人で投げきり今季初完封。リーグ優勝こそ逃したが、昨秋の早大3回戦、残りアウト3つのところで3連覇を阻まれた宿敵への雪辱は果たされた。
早大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 慶大 0 0 1 0 0 0 1 0 X 2
早大バッテリー:●早川、西垣、柴田-小藤
慶大バッテリー:○髙橋佑-郡司
1 [8]7 柳町達(商4・慶應) 2 [5] 下山悠介(商1・慶應) 3 [9] 中村健人(環4・中京大中京) 4 [2] 郡司裕也(環4・仙台育英) 5 [7] 正木智也(政2・慶應) R8 渡部遼人(環2・桐光学園) 6 [3] 嶋田翔(環3・樹徳) 7 [4] 小原和樹(環4・盛岡三) 8 [6] 瀬戸西純(政3・慶應) 9 [1] 髙橋佑樹(環4・川越東)
試合開始からエンジン全開の両軍先発投手が投手戦を繰り広げた。試合が動いたのは3回裏。前日3安打の瀬戸西純(政3・慶應)が9球粘って早大・早川の速球を右前へ運び出塁すると、続く髙橋佑が初球で犠打を決める。2死二塁の場面で、この早慶戦からスタメンに抜てきされた下山が左前へ適時打。無駄のない、効率の良い攻撃で先制する。その直後4回表の守備では、髙橋佑がこの試合初安打を浴びるも、続く打者の右中間を抜けようかという当たりを右翼手・中村健人(環4・中京大中京)がダイビングキャッチ。相手の反撃を許さなかった。
7回裏には正木智也(政2・慶應)、小原和樹(環4・盛岡三)の連続安打と相手投手の暴投で作った2死二、三塁のチャンスから髙橋佑が直球を中前へ弾き返し、自らを援護する適時打。ここまで好投を続けたエースが打撃でも魅せた。
適時打を放ち、自らを援護した髙橋佑
その髙橋佑は最終回もマウンドへ上がり、先頭打者を三球三振に仕留める。続く打者には内野安打を許すが、最後は併殺打で試合を締め、雄叫びをあげた。1年の頃から慶大投手陣を支え続けた男の、三塁を踏ませない完封勝利で令和最初の早慶戦を制した。
今季、守備職人として輝きを放った小原
改元から1ヶ月が経ったことで世間のお祭りムードも鎮まった今、「令和最初の」などという使い古された言葉でこの3戦を語るのは野暮かもしれない。だが100年以上に及ぶ長いライバル関係の中、1つの区切りとなる平成最後の対戦であの忘れられない敗戦。そして選手全員が雪辱を誓って臨んだ新元号最初のこのカード、初戦こそ落としたが連勝で飾って終えた。まさに新時代の幕開けにふさわしい。
次に神宮球場で慶大ナインを見られるのは、先日リーグ戦通算100安打を達成した柳町達(商4・慶應)や主将・郡司裕也(環4・仙台育英)ら、下級生の頃からチームを引っ張り続けた黄金世代が迎える最後のリーグ戦だ。良い形でこの春の戦いを終えた彼らは、夏を経てさらに成長した姿を我々に見せてくれることだろう。秋に歓喜に包まれる彼らを楽しみに、我々はまた神宮球場へ足を運ぶ。
(記事:竹内大志、写真:澤田夏美、小林歩)
◆慶大打撃成績
1 [8] 柳町 空三振 一ゴロ 左安 空三振 2 [5] 下山 中飛 左安① 遊ゴロ 三直 3 [9] 中村 三ゴロ 一飛 右安 空三振 4 [2] 郡司 左安 逃三振 併殺打 四球 5 [7] 正木 二邪飛 二飛 右安 R 渡部遼 四球 6 [3] 嶋田 空三振 三ゴロ 空三振 三ゴロ 7 [4] 小原 左安 四球 遊安 8 [6] 瀬戸西 右安 投犠打 中飛 9 [1] 髙橋佑 一犠打 左飛 中安①
◆投手成績
髙橋佑 9 32 106 3 5 2 0 0
◆早大打撃成績
1 [7] 瀧澤 二ゴロ 一ゴロ 投ゴロ 二ゴロ 2 [4] 吉澤 四球 左飛 右2 右飛 3 [5] 福岡 二ゴロ 投ゴロ 空三振 空三振 4 [9] 加藤 左飛 中安 空三振 遊安 5 [6] 檜村 二ゴロ 右飛 二飛 併殺打 6 [2] 小藤 中飛 一ゴロ 一ゴロ 7 [3] 中川卓 遊飛 四球 逃三振 8 [8] 鈴木萌 二ゴロ 空三振 H 岡本 三ゴロ 1 西垣 1 柴田 9 [1] 早川 一失 捕邪飛 8 山田 遊ゴロ
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
ーー今日の試合を振り返って
勝ち点をとったのが非常に大きいですね。優勝は関係ないけど、対早稲田というところと、リーグ戦で勝ち点を4を積み重ねるということ。勝ち点4に関しては6季連続で、これはなかなかないことなので、それについても大きな1勝でした。
ーー髙橋佑投手は今季初完投で完封という結果でした
持ち味を発揮してくれました。ああいうのが本来のスタイル。でもスピードを速くしようとか、試合の中でも色々な力み、気持ちが出てしまうタイプなので。それがいいところではあるんだけど、この早稲田戦くらい冷静沈着に投げてくれたら、彼の良さが全面に出てくるんじゃないかなと思います。
ーー攻撃に関しては
相手の投手は防御率もいいし、今後ドラフトにもかかるであろう逸材。その後に出てくる投手も(攻略するのが)簡単ではないと思っていたので、3点勝負かなと思っていました。もうちょっと点がとれるかなという場面もありましたが、そこは相手の守備に阻まれましたね。
ーーこの早慶戦は下山選手が活躍しました
期待して試合に出しているので、それに応えてくれました。この3連戦は彼にとっていい経験になったと思います。
ーーこの3連戦を振り返って
きつかったです。特に相手が早稲田ということもあるし、早稲田以外の4校にも勝たなきゃいけないし。もっと勝ち点を積み重ねて、優勝が懸かった早慶戦ということを常に意識しているので、そこだけは悔しいですね。
ーーこの春季リーグを総括すると
選手は、最大の目標は「早稲田に連勝して優勝」ということでやっています。優勝は逃したし、初戦も落としましたけど、髙橋佑は去年の秋、あとアウト3つというところで降板したところから、今日は1人で投げ切った。他にも色々な部分で選手たちの成長を感じられました。秋につなげていきたいと思います。
郡司裕也主将(環4・仙台育英)
ーー今のお気持ちは
早慶戦で勝ち点を取るのが1つの大きな目標だったので、優勝は逃しましたがかなり秋につながったと思います。
ーー今日の試合を振り返っていかがでしたか
もう本当に髙橋佑樹様様っていう感じで、彼のおかげで勝てたと思います。気持ちを見せてくれました。
ーー髙橋佑投手の完封はいかがでしたか
去年の秋の3回戦で最後打たれてしまった悔しさが彼自身あったと思うので、今日は初回から球に気持ちが乗っていて、絶対勝ってやるという思いが伝わってきました。
ーー課題だった立ち上がりはどのように乗り越えましたか
特にどうしたっていうのはないですが、試合前から確認を徹底的にやって、こういう風に攻めていこうというのをちゃんと話し合ってから試合に挑むようにはしました。
ーー昨秋の雪辱は果たせましたか
はい。果たせたと思うのですが、日吉には(昨秋早大3回戦の)5ー4のスコアがずっと貼ってあるんですけど、それをどうするかはこれからみんなと話し合いながら悔しさをこれで晴らせたとするのか、秋も同じような気持ちを持っていくのか、また話し合いですね。
ーー今シーズンを振り返っていかがですか
勝ち点4が取れて、これで6季連続で勝ち点が4なので悪くはないと思いますけどピッチャーの調子の維持であったり、バッティングもまだまだもっと合わせられたなっていう選手も多いと思うので、まだまだ改善する余地はたくさんあるなと思います。
ーー秋に向けてどういうことをやっていきたいですか
何をやるっていうのは、個人個人がしっかりと課題を見つけてそれを夏の間に課題を潰すのと、長所をどんどん伸ばしていく練習をしていくしかないと思います。
ーーファンに向けて一言お願いします
特に早慶戦にはたくさんの人が来てくれて、本当に力になって、それで勝てたと思うので秋は完全優勝を目指してまた一から頑張るので応援よろしくお願いします。
髙橋佑樹(環4・川越東)
ーー今日の試合を振り返って
良かったです(笑)。昨日木澤が154キロ出したので僕も初回から155キロ出そうと思ってたんですけどそれはなかなかかなわず(笑)。でも、自分が思ったように投げて、思ったようにバッターが反応してくれたので、僕の持ち味は出せたかなと思います。
ーー今日は完封しました
本当に一人一人抑えた結果が完封という感じだったので、もちろん終盤意識はしましたけどできるだけ序盤から意識は変えずに投げました。
ーー今日はヒットも出て、打点を挙げました
いやー良かったですね(笑)。今季初めてしっかり振ってヒットになったんじゃないかなと思うので気持ちよかったです。
ーー試合の中で自分の中で気持ちが上がってきた場面はありましたか
もう今日は最初からフルスロットで上がっていました。
ーー早慶戦3試合振り返って
初戦も投げた時に悪い調子ではなくていいピッチングができていたんですけど、少しずつ隙を突かれて点を取られて負けてしまってというなかで、早慶戦を個人的に振り返ると、何も問題なく及第点だと思います。
ーー今季全体を振り返って
今日のピッチングを明大戦でしなきゃいけなかったというのが一番で、シーズン通して状態高く持っていかなきゃ結局のところ優勝はできないというのは痛感しました。
柳町達(商4・慶應)
ーー今日の試合を振り返って
やはり、早慶戦という特別な試合で勝てたのが本当に良くて、髙橋佑が本当に頑張ってくれて、いい試合だったと思います。
ーー昨秋の雪辱を果たせましたか
そうですね。9回は同じような感じでしたが髙橋佑が抑えてくれましたし、そういう意味では雪辱は果たせたかなと思います。
ーー今日は下山選手の先制打のきっかけを作りました
僕が打っておけば良かったのですが、それを下山がしっかりとカバーしてくれてよかったと思います。
ーー副将として臨んだ初めてのシーズンでした
やはり、基本はあまり変わっていないと思いますが、副将として先頭に立って練習からやってきたので、序盤はよく結果が出てたのですが、後半は失速して、それは僕の弱みだったのかなと今考えたら思います。
ーー弱みとは
色々なプレッシャーであったり、優勝の懸かった勝負であったりとかで結果を出せなかった選手であったというのが弱みだと思います。
ーー今季のご自身の成績に関しては
前半戦は良かったので、シーズン通して続けられるように頑張っていきたいです。
ーー秋に向けて一言お願いします
勝ち点4は取れたのですが、優勝を逃してしまったので、秋は勝ち点5で完全優勝して、良い形で終わりたいと思います。
小原和樹(環4・盛岡三)
ーー今日の試合を振り返って
去年すごく悔しい思いをしたので勝ちきれて良かったと思います。最後の回もみんな集中して勝てたので、良かったなと思います。
ーー今日は全打席で出塁しました。前の試合から修正したことは
僕みたいなバッターが簡単にアウトになってはいけないのでとにかく出塁する気持ちで、単純なことなのですがボール低めを切って高めに狙いを絞って本当に単純なことなのですがそこを徹底できたのが出塁につながったと思います。
ーー走者がいる状態でどのような気持ちで打席に臨みましたか
本当につなぐということだけを考えて、僕がつないだら瀬戸西や髙橋佑が打ってくれるのでつなぐバッティングができて良かったと思います。
ーー早慶戦でも好守が多く見られました
僕の中で守備には調子とかないと思っていて、ただ目の前のアウトを必死にとるだけだと思っているので、来た打球を全部アウトにできたので良かったと思います。
ーー早大から勝ち点を取ることができました
早大との試合は特別なものがあって僕らだけではなくて大学同士の戦いだと思っているので、去年の悔しさを生かして今日勝てたことが良かったと思います。
ーー今季振り返っていかがですか
チームとしてはもちろん勝ち点4を取ったのですが、勝ち点5にはほど遠く優勝するためには勝ち点5が必要ですし、僕個人としても守備だけでなくて打撃でもチームに貢献していかないとチームの勝利にはまだつながらないと思っているので、秋に向けてバッティングに取り組んでいきたいと思います。
ーー秋に向けての意気込みをお願いします
この春通して明大が勝ち点5で優勝して勝ち点5でなければ優勝できないということを学んだのでとにかく全員で、今より1人1人がパワーアップして家族としてもっと一丸となって戦っていきたいと思います。
下山悠介(商1・慶應)
ーー早稲田から勝ち点を取れました
明大に負けたところで優勝を逃してしまったんですけど、チーム全体で早稲田に勝とうという気持ちでやってきたので、勝ち点を取れたということは秋のリーグ戦につながると思います。
ーー先制点となる適時打を放ちました。その打席はどのような気持ちで臨みましたか
1回戦の時に早川投手のスライダーとカーブにやられていたので、スライダー、カーブをイメージしながら狙っていました。
ーー打ったボールは
スライダーでした。
ーーその打席を振り返って
何としても先制点がほしい場面だったので、何とか、何とかして一本打てないかなと思って、集中力は持っていたので、一本出て良かったです。
ーー今季を振り返って
最初の頃は本当に緊張がすごかったのですが、先輩方が思いっきりプレーをさせてくれるので、それに後押しされて結果が出ました。サポートしてくれた方々に感謝したいです。
ーー今後に向けて意気込みを
4年生と最後になる秋は、4年生と良い思いができるように優勝目指して頑張りたいです。