64年東京五輪の記念像、江の島 大学生ら60人磨き上げ

半世紀以上前に設置された弁財天(右)などのブロンズ像をきれいにする学生たち=藤沢・江の島

 1964年の東京五輪セーリング競技開催を記念して藤沢・江の島の北緑地広場に設置されたブロンズ像「弁財天と女性群像噴水池」のメンテナンス作業が3日、行われた。来年の東京五輪を前に、地元の湘南工科大や東海大の学生ら約60人が協力して半世紀以上前の姿に近づけた。

 「弁財天と女性群像噴水池」は、近代彫刻の大家で晩年を藤沢市で過ごした加藤顕清(けんせい)(1894-1966年)の作品。松下電器産業(現パナソニック)の創業者、松下幸之助氏が寄贈した。

 噴水池の中央に瞑想(めいそう)する弁財天を置き、その像を囲むように東洋と西洋を表現した4体の女性像が配置されている。東京五輪を機会に東西文化の歴史的交流の意味を表現したとされる。メンテナンスは公共空間の芸術作品をよみがえらせる同市のプロジェクトの一環。中性洗剤を使って念入りにブラシで磨き上げ、汚れを洗い流した。近く、さび止め用のワックスをかける予定だ。

 ブロンズ像は紫外線に加えて塩害の影響もあり、劣化が激しかった。指導に当たった、近現代彫刻の保存修復を専門とする高橋裕二さん(66)は「若い人も参加し、多くの人にメンテナンスの大切さを知ってもらういい機会になった。いずれは修復も検討する必要がある」と話していた。 

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