30回目の「声」奉納 朗唱家の天童大人さん 対馬・和多都美神社

声の奉納を行った天童さん(左)と紫さん。奥は和多都美神社の本殿=対馬市

 朗唱家で詩人の天童大人(てんどうたいじん)さん(75)=東京都大田区=らは3日、海中鳥居で知られる長崎県対馬市豊玉町の和多都美(わたづみ)神社を訪れ、声を奉納した。

 浅茅(あそう)湾に臨む同神社は満潮時、五つの鳥居のうち一の鳥居と二の鳥居が海に没する。天童さんは1983年に同神社を訪れた際、鳥居と本殿の間に、音が周りの山々にこだましながら突き抜けていく「道」があると発見し、90年から毎年5月か6月の新月の日に奉納している。

 30回目を迎えた今回は、干潮で地続きになった一の鳥居前に立ち、約250メートル先の本殿に向けて母音を時に甲高く、時に野太く唱え、元寇(げんこう)の戦没者を弔う自作の詩を朗読した。2012年から参加している詩人、紫圭子さん(71)=愛知県豊川市=も自作の詩を朗読した。天童さんは「争いが起きないよう願って奉納してきた。今後も声が出る限り、続けていきたい」と語った。

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