交流戦で重要なのは本拠地で負けないこと 過去3年の勝敗からポイントを分析

西武・辻監督(左)、広島・緒方監督【写真:荒川祐史】

交流戦でペナントレースの「勢力図」が変わる? 昨年のセ・リーグは…

 交流戦が始まる。2005年に始まってから15シーズン目、すっかり定着したが、同時に「パ・リーグが強い」ということも、定説化している。

 なぜセ・リーグが勝てないかという問題は別にして、交流戦には「空気を変える」という大きな作用がある。開幕から2か月間、約50試合を戦ううちに各リーグには「勢力図」ができあがるが、交流戦で対戦相手が変わることで、その「勢力図」も変化する。

 そのよい例が、昨年のセ・リーグだ。交流戦前後の順位とゲーム差。

1位 広島 率.614 → 1位 率.548
2位 阪神 率.523 ↓ 4位 率.475
3位 DeNA 率.500 ↑ 2位 率.483
4位 巨人 率.489 ↑ 3位 率.476
5位 中日 率.478 ↓ 6位 率.453
6位 ヤクルト 率.395 ↑ 4位 率.475

 昨年も今年と同様広島が独走していた。広島は負け越したものの首位をキープしたが、交流戦前の時点で2位の阪神から5位の中日までもすべて負け越し。負け越し数が少なかったDeNAと巨人が浮上し、負け越しが大きかった阪神と中日が下位に沈んだ。

 その中でセで唯一12勝6敗と大勝ちしたヤクルトが最下位から4位タイに浮上した。そして結果的に交流戦で浮上したヤクルトが、2位でフィニッシュしたのだ。交流戦には、こういう「化学変化」が起こるのだ。

 大事なことは、大敗しないことだろう。悪くても1、2個の負け越し程度でとどめれば、交流戦明けにもペナントレースに踏みとどまることができる。

過去3年間で勝率1位のホークスは本拠地でわずか6敗、広島も8敗のみ

 交流戦で大事なのは、ホームゲームを落とさないことだ。

 過去3年間の12球団の勝敗とホームHロードRの勝敗を見ていこう。

1位ソフトバンク 36勝17敗1分 率.679
ホーム 21勝6敗0分 率.778
ロード 15勝11敗1分 率.577

2位 広島 30勝23敗1分 率.566
ホーム 18勝8敗1分 率.692
ロード 12勝15敗0分 率.444

3位 西武 29勝24敗1分 率.547
ホーム 17勝10敗0分 率.630
ロード 12勝14敗1分 率.462

4位 ロッテ 29勝25敗0分 率.537
ホーム 17勝10敗0分 率.630
ロード 12勝15敗0分 率.444

5位 日本ハム 28勝26敗0分 率.519
ホーム 15勝12敗0分 率.556
ロード 13勝14敗0分 率.482

6位 楽天 27勝27敗0分 率.500
ホーム 14勝13敗0分 率.519
ロード 13勝14敗0分 率.482

7位 オリックス 26勝27敗1分 率.491
ホーム 14勝13敗0分 率.519
ロード 12勝14敗1分 率.462

8位 DeNA 24勝30敗0分 率.444
ホーム 14勝13敗0分 率.519
ロード 10勝17敗0分 率.370

9位 阪神 23勝30敗1分 率.434
ホーム 11勝15敗1分 率.423
ロード 12勝15敗0分 率.444

9位 ヤクルト 23勝30敗1分 率.434
ホーム 13勝13敗1分 率.500
ロード 10勝17敗0分 率.370

11位 中日23勝31敗0分 率.426
ホーム 12勝15敗0分 率.444
ロード 11勝16敗0分 率.407

11位 巨人 23勝31敗0分 率.426
ホーム 14勝13敗0分 率.519
ロード 9勝18敗0分 率.333

 もともとプロ野球はホームチームがやや有利になる傾向にあるが、交流戦は過去3年でもホームの勝率が.561、ロードが.439とさらにホームが有利になる。普段は試合をしない他、リーグチームの本拠地での試合は、勝手が違うのか勝ち越すことが難しい。それだけに、有利なホームゲームをしっかりとることが必要だ。

 交流戦で圧倒的に強いソフトバンクは過去3年、本拠地で6敗しかしていない。2位の広島も8敗だけ。ロードゲームで苦戦しても、ホームでしっかり勝ち越すことで交流戦を有利に戦うことができるのだ。反対に、交流戦で弱いチームはホームゲームを落とすことが多い。

 今季の交流戦も、ホームゲームで取りこぼしが多いチームが脱落していくことになるだろう。今年の交流戦はどんな「化学変化」が見られるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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