STCC第2戦:元王者ロバート・ダールグレンが完勝、女性3名もトップ10入り

 TCR規定を採用して3シーズン目を迎えているSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権の第2戦が6月1~2日にスウェーデンのアンダーストープで開催され、2017年王者のロバート・ダールグレン(セアト・クプラTCR)が完勝。PWRレーシングのチームメイトで、開幕勝者のミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(セアト・クプラTCR)も2ヒート連続でトップ10入りし、ゲスト参戦のジェシカ・バックマン(ヒュンダイi30 N TCR)も初のSTCCで3位表彰台を獲得するなど、女性ドライバーが活躍を演じる週末となった。

 2019年シーズンはWTCR世界ツーリングカー・カップにチーム代表のダニエル・ハグロフと新鋭ミケル・アズコナが参戦、STCCにはエースのダールグレンと26歳のコチュリンスキーを引き続き起用しているPWRレーシング・セアト・ディーラーチーム。

 開幕戦ではそのコチュリンスキーが自身初のポールポジションからシリーズ2勝目を飾るなど大活躍を演じたが、この週末は元王者が「速さを取り戻せて安心した」と本音をのぞかせたとおり、公式練習からスピードを見せて予選でもポールを確保する

 フロントロウにブリンク・モータースポーツのアンドレアス・ウェルナーソン(アウディRS3 LMS)がつけ、セカンドロウにはホンダ・レーシング・スウェーデンby MA:GPのマティアス・アンダーソン(FK2ホンダ・シビック・タイプR TCR)とコチュリンスキーのクプラが並ぶグリッドに。

 昨年はウエスト・コースト・レーシングのフォルクスワーゲンでこのアンダーストープ戦にエントリーしたジェシカ・バックマンは、2019年のTCRヨーロッパをともに戦う強豪ターゲット・コンペティションとともにスウェーデンに遠征し、予選で8番手を獲得。

「最初のタイヤセットはミスしてしまって、次のニューではアンダー(ステア)がキツかった。それで8番手だったんだけど、リバースポールなんて私のプランにはまったく入ってなかったわ!」と、この結果により予選トップ8のリバースグリッドとなるレース2では、自己最高位のポールポジションからレースを戦うこととなった。

 迎えた日曜のレース1は、スタートから最前列のダールグレンがレースをコントロール。ターン6で2番手のアウディをセカンドロウのホンダとのバトルに押しやると、ポジション争いを繰り広げる2台を尻目にバックストレートへ向けスパート。

 すると、その2番手争いに4番手スタートのコチュリンスキーも加わり三つどもえになると、背後から迫ってきたブリンク・モータースポーツのもう1台、5番グリッド発進のトビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS)が2周目の1コーナーアウトから前方の2台をまとめてパッシングする豪快なドライビングで3番手へ。

「ここ(STCC)で経験を積み自信を深めて、2020年は数戦でWTCRのグリッドにも並びたい」と意欲を見せる開幕戦勝者のミカエラ-アーリン・コチュリンスキー
R1のスタートではダールグレンがアウディやMA:GPのシビックを封じ込め、盤石のマージンを築いていく
「ストレートスピードを改善するためのセット変更が効果を発揮した」と、復活勝利のダールグレン(中央)

 以降はコチュリンスキーが6番手のアンドレアス・アールベルグ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)を抑え込むレースとなり、上位にポジション変動なく12周のチェッカー。

 TCR規定STCC初代王者ダールグレンが7秒のマージンを築いて復活勝利を飾り、ウェルナーソン、ブリンクのアウディRS3 LMS勢が表彰台を占拠。ホンダのアンダーソンに続き、コチュリンスキーが女性最上位の5位に入った。

 またSTCCデビューのヒュンダイを7位フィニッシュに導いたジェシカ・バックマンに加え、2019年は隣国デンマークからSTCCにフル参戦するルイーズ・フロスト(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)も10位に入り、女性ドライバー3名がトップ10フィニッシュを決めている。

 続いて日曜の現地15時20分にスタートを迎えた週末最終ヒートのレース2は、ジェシカ・バックマンが重圧に耐えながらのホールショット。すると背後ではミッケ・カーゲルド・レーシングのアールベルグがチームメイトのトーマス・エングストロム(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)をかわして早々に2番手へと浮上し、ジェシカ追撃に挑む。

 さらに背後では抜群のスタートダッシュを決めたブリンクのアウディもエングストロムをパスして3番手に上がると、首位を走るバックマンに襲い掛かり、2周目のグランプリ・カーブではアールベルグ、ブリンクが相次いでヒュンダイをかわしていく。

 これでアールベルグ、ブリンク、バックマン、エングストロムに続き、2周目にコチュリンスキーをかわしたダールグレンのトップ5が形成されると、5周目には背後のウェルナーソンとのバトルでミスを犯したコチュリンスキーがコースオフを喫し、トップ10圏外のパック最後方にまでドロップ。

 しかしここから挽回を見せた開幕勝者はファイナルラップで10番手にまでカムバックし、2戦連続の10位入賞でポイントを獲得した。

 最終的にこのレース2表彰台には自身とミッケ・カーゲルド・レーシングにとって初優勝となったアールベルグがトップスポットに上がり、2位にブリンク、そして3位には前週のTCRヨーロッパ、ドイツ・ホッケンハイム戦に続いてのキャリアハイ3位となったジェシカ・バックマンが最後のポディウムを獲得している。

 続く2019年STCCシリーズ第3戦は、6月14~15日にスウェーデン北東部のシェレフテオを舞台に開催され、同地出身のダールグレンは1ポイント差の選手権首位でホームイベントに挑むことになった。

2019年のTCRヨーロッパをともに戦う強豪ターゲット・コンペティションとともにゲスト参戦したジェシカ・バックマン
R2ではアンドレアス・アールベルグが自身とMicke Kågered Racingにとっての初優勝を勝ち獲った
3位表彰台のジェシカ・バックマン(右)は、前週のTCRヨーロッパ、ドイツ・ホッケンハイム戦に続いてのキャリアハイとなった

© 株式会社三栄