大企業カネカの“育休見せしめ転勤命令疑惑”騒動 さらなるガソリン投下で炎上騒ぎが収まらない状況

株式会社カネカの公式サイト

カネカ元従業員の妻が「夫が育休をとったら見せしめの転勤を命じられた」とパタハラを告発したツイートが話題になってます。これに対しカネカはコメントを公にはしていないものの従業員あてのメールが流出し、今もなお事態が沈静化する様子はありません。

参考記事:大企業のブラック体質が浮き彫りに 社員に強制転勤命令を下した大企業ミツカンに「理由があったのでは?」と安藤優子らが大忖度

事の始まりは4/23にカネカ元従業員の妻が投稿したツイートです。
夫、育休明け2日目で上司に呼ばれ、来月付で関西転勤と
この転勤が育休取得による見せしめによって命じられたのではないか、といったような主張でした。

その後、6/1に投稿されたツイートには、
5月に関西転勤はできないから退職しかない、と伝え、ただ夫は始めたプロジェクトを責任持って軌道に乗せたいから東京で6月まではやらせてほしい、次への準備に20日以上余った有給を消化させてほしい、と頼んだけど、辞めるなら5月末だから、と切られ、ボーナス無し
と転勤に応じることは出来ず、退職することを選んだことが書かれていました。

この一連のツイートにはどこの会社であるかはっきりと記載されてはいないものの、カネカのキャッチコピーである、

#カガクでネガイをカナエル会社

というハッシュタグがつけられており、該当の会社はカネカで間違いないであろうと拡散されています。

Twitterなどでは「今時こんなことがあるなんて悲しすぎます」「有給消化させないのは明らかな法律違反。あと退職日を会社が指示するのも違反」といった声や、同じ被害にあったという共感の声が寄せられていました。

そして「カネカが企業サイトから『育児休業や男性の育休取得に関するページ』を削除した」と、炎上したから意図的に削除したのでは、という噂が拡散され更なる騒動に発展しました。

しかし、カネカは、

昨日ワークライフバランスの項目については、HPを削除しておりません。
2月にHPをリニューアルし、内容を再編いたしました。
ワークライフバランスについては、採用情報「多様性の推進に向けて」の中で引き続きご説明しております。内容は、ライフイベントとキャリアの両立支援についてまとめております。2月にHPをリニューアルした際に、旧サイトは全て削除するべきところ、一部が残ってしまいました。混乱を招いたことについてお詫び申し上げます

と該当ページを意図的に削除したという事は否定しています。

今回のパタハラ騒動については公のコメントを発表していないカネカですが、6月3日に社長から社員宛てに今回の炎上に関するメールが出されていたとして、その全文が日経ビジネスに掲載されています。

参考記事:事件を素早く取材した日経ビジネスより 「カネカ続報、「即転勤」認める社長メールを入手」https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/060400016/?n_cid=nbponb_twbn

そのメールでは『育児休業休職直後に転勤の内示を行ったということはあります』と告発の内容を一部認めているものの、『見せしめといったものではありません』と嫌がらせの意図はないと否定していました。

そして『SNSに書かれているものは、正確性に欠ける』としていますが、『当該社員に誤解を生じさせたことは配慮不足であった』として、ツイート主の夫がカネカ元社員だったことは認めているようです。

このメールが流出したことにより「取材に対しては“ウチの社員とはっきりするまでコメントできない”と説明を断る一方、社内にはメールを飛ばして言い訳、と」「“見せしめ”って言葉を社長自らが使ってるのも軽いホラー」と更にカネカに対し非難が集まる結果となりました。

しかしその後、この件を告発した元従業員の妻の過去ツイートにとんでもないものが発見されました。

そこには「夫起業の具体的な準備」との記載があった事が発覚。今年1月に投稿されたものでしたが、カネカに関するツイートが炎上した後に該当のツイートが削除されているようで「起業ツイート消してるの見ると不信感抱く。やってることカネカと一緒やん(やましいことは消す)」と告発者を非難する声も出始めます。

画像はツイッターより

「もともと辞めて起業する予定だったみたいだし、“転勤なら辞めるわ。でもボーナス欲しいから有給使って6月まで居させろ”を会社側から断られたって話よね」

「元々起業予定で有休まるごと使用&ボーナス貰って辞めようという計画だったとしても、会社が退職日指定で有休使わせないのは違法だし、ボーナスの件は会社によるけど大手なら多分ゼロはありえないから」

「いやもちろん有休消化させなかったカネカに非はあるけど、あたかも自分たちは会社に寄り添うつもりだったのに裏切られた、かのような書き方をしてるヨッメはどうなの? って話ですよ。つまりどっちもどっち」

「仮定の話だけど育児休暇中に育児を一切やってないことが判明したら有給休暇を当てざるを得ないんだろうな」

「カネカさんの件は育児世帯だけじゃなくて、誰かと共に生きて働く人全ての問題だよ。会社の言いなりに身軽に動けない労働者は要りませんって意味だからな」

「カネカの件でもやもやするのは“じゃあ、誰が転勤するの?”という話。新築したからダメ、子供がいるからダメ、ってなったら結局、独身のオッサンばかりが転勤させられるじゃないの?」

と様々な意見が飛び交い、今もなお事態が収束する気配はありません。

参考記事:未だに「副業禁止」を社員に課している会社はブラック企業では? それ、憲法違反ですよ!

男性の育児休暇義務化の動きがでてきている中で、まだ男性の育休に難色を示す企業は多いのかもしれません。

しかしカネカは、少子化対策として社員に子育て支援のための行動計画を作成し認証されたことを示す「くるみん(「次世代育成支援対策推進法」認定)マーク」を取得しているそうです。そのような企業が「育休をとったらから見せしめ」をしたというのが事実ならば、その認定マークは取り下げるべきなのではないでしょうか。(文◎絹田たぬき)

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