新庁舎計画中止を 二宮の市民団体が署名を提出

 2023年度の移転建て替えを目指す二宮町の新庁舎建設計画を巡り、計画中止を求める市民グループが5日、村田邦子町長に町民1027人分の署名を提出した。

 署名活動を行ったのは主婦らを中心とした「大切な暮らしのために町を考える会」。総事業費約20億円とされる新庁舎計画に対し、財政上の不安から(1)計画の中止(2)公共施設の再配置に優先順位をつけ、具体的な財政計画を伴うまちづくり計画を表明すること-を町側に求めている。

 同会は5月下旬から街頭やインターネットで署名を呼び掛け、1週間ほどで千人分を集めた。「反対の声がどれだけ多くあるのか知ってほしい」と、7日に町議会が開会することから“第1弾”の署名を提出することを決めた。署名集めは6月下旬まで続ける。

 この日、同町役場を訪れた同会メンバーの中井英基筑波大名誉教授が村田町長に手渡した。村田町長は「町民の声をしっかり受け止める」と話した。

 署名活動に奔走するのは子育て世代の女性が中心。メンバーの1人は昨年の大阪北部地震でブロック塀の倒壊によって女児が亡くなったことをきっかけに、多くの町立施設で耐震補強が進んでいない現状に不満を持ち、活動を始めた。「地域の集会施設が倒壊の危険性があるのに庁舎だけ新しくするのは納得できない」と訴える。

 町民の反発を受けた町は事業費を6億円削減。別のメンバーは「町全体のビジョンがない。町民みんなでつくりあげる庁舎であってほしい」と行政との話し合いを求めた。

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