『住んでよし、訪れてよし』小浜温泉の活性化計画策定へ

年間約13万人が訪れる足湯施設「ほっとふっと105」=雲仙市

 長崎県雲仙市小浜町の小浜温泉街の活性化に向けた基本計画作りが動きだした。市商工会が中心となって今夏、観光客の動態調査や地域住民のニーズ調査を実施し、双方を踏まえながら本年度中にまちづくりの指針となる基本計画を策定する方針。調査への準備に入っており、関係者は「地域の課題を洗い出し、観光地としての魅力アップにつなげていきたい」と意気込む。
 同商工会によると、小浜、雲仙の両温泉街を含む小浜町内の会員事業者数は今年3月末現在、344人。10年前と比べ、約50人減少した。小浜温泉街の商店街では閉店したままの店も目立ち、空き家対策も喫緊の課題となっている。
 また、2010年に県と市が整備した長さ105メートルの足湯施設「ほっとふっと105」を巡っても課題はある。同施設は観光客の呼び水として期待され、昨年度も約13万人が足を運んだものの、「団体客が休憩所代わりに足湯に入るだけで帰ってしまい、地元にお金が落ちない」との指摘がある。
 こうした現状を踏まえ、同商工会は宿泊客と日帰り客の動態調査に乗り出す。夏ごろまでに、観光客の周遊ルートやニーズを集約し、温泉街の課題を洗い出す。同時に、商店主や地元住民へのヒアリング、アンケートも実施する。日ごろ買い物をする場所や、公共施設のあり方などを尋ね、地域の要望を分析していく。
 双方のアンケート結果をもとに、地元住民や有識者、行政を加えた検討委員会を設置する予定。周遊ルートの開発のほか、どういった店舗が求められているか、移住・定住者の確保にはどんな施策が必要か-など、まちの将来像や改善点を議論し、本年度中に「小浜中心市街地活性化基本計画」の素案をまとめたい考えだ。同商工会は「観光振興だけでなく、住民の視点も生かしたまちづくりが必要。『住んでよし、訪れてよし』の小浜温泉を目指していく」としている。

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