第13回【板橋区】(上)「誰一人取り残さない」対策に取り組む 防災を含めたSDGs達成に注力

写真を拡大 板橋区が重視するSDGsの17項目(出典:国際連合広報センターホームページ)

東京都23区内の災害対策は多様です。それは、地形や過去の経験が様々だから。お住まいの地域の防災対策が「その区ならでは」のものになっていることをご存知ですか?まずは、住んでいるまちのことを知り、そのまちで安心して暮らすための対策を知る。その行動次第であなたの大切な人の命が救われるとしたら…? 23区の「その区ならでは」をここで一挙にお伝えします! 今回は、板橋区です。

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全国8位、都内1位

「SDGs(持続可能な開発目標)先進度調査」で板橋区が全国8位・東京都内1位!!

突然出てきましたが…。
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで採択された、全ての先進国と発展途上国で取り組む2016年から2030年までの国際目標のこと。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されていて、分野ごとに17の目標があります。

分野には、貧困、エネルギー、産業と技術革新、経済やまちづくりなど一人ひとりの生活に密接した取り組みが挙げられています。「国際目標」と掲げられると、自分の生活とはかけ離れている…と思いがちですが、日常生活に直結する目標となっています。

11番目の目標には、「住み続けられるまちづくりを... 都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする」とあり、災害が起きても安全、強靭かつ持続可能なまちをつくっていく目標が定められています。

難しい言葉で表現されていますが、「一人ひとりの命が守れ、安全に幸せに生き続けられるまちを創るために取り組んでいこう!」という目標です。

17の目標、すべての実現にあたっては「誰一人取り残さない」ことを目指しています。そのためには、国レベルに加えて、地域での取り組みが欠かせません。板橋区では、世界共通の目標に対して、全国8位という評価がつくほど積極的に取り組まれているのですね。

目標達成に向けて、地方自治体における地域資源やエネルギー補完による循環共生型の社会づくり、環境教育などの取り組みが、板橋区では、進められています。また国や都、区民、事業者と連携協働のもと、区としてSDGsの目標達成に寄与されています。

具体的には、

・「緑のカーテン」等、地球温暖化対策の実施
・環境教育プログラムを整備し、ホームページ掲載や、区立小中学校・保育園等への配布
・貧困の連鎖を防ぐため、すべての子どもたちが夢と希望を持って成長する板橋の実現を目指す「いたばし子ども 夢つむぐプロジェクト」の実施
・女性の社会参画及び経済的自立の支援のため「女性の再就職支援や育児中女性支援プログラム」等の実施

などを推進されています。

「そういえば…学校でこどもが環境教育プログラムを受けていたな〜」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。学校などで新しく取り組まれていることは、2030年までの達成を目指している目標のための活動につながっているのですね!

今後さらに、行政・民間企業・NGO・区民などが協力して知恵を出し合い、目標達成に向けて取り組みを続ける板橋区では、どのような防災対策がなされているのでしょうか。

地区ごとの被害想定を公開

地域特性を踏まえた被害の想定から、災害の予防対策、そして発災後の応急対策、復興計画を定めています。板橋区と一言で言っても地域によって、地盤や住んでいる人、川からの距離などにより被害想定も変わります。

特性が違う地区ごとに被害想定が公開され、自分の住んでいるまちがどのような状況になるか…が分かる状態となっています。例えば、板橋地区では、以下のように示されています。

http://www.city.itabashi.tokyo.jp/ckurashi/076/attached/attach76376_10.pdf

建物倒壊危険度や火災危険度、洪水の被害想定が示されるハザードマップなどが詳しく掲載されています。

自分の住んでいる地区の特性をまず知り、その上でどのような対策を自分自身そして家族で取らないといけないのか、そして少し視点を広げて、地域のママ友やお隣さんと何を話し合っておかないといけないのか…を考えるきっかけの資料が整えられていますね。

板橋区全体としては、東京都防災会議で2012年4月に決定した「首都直下地震等による東京の被害想定」を基に以下のような被害が想定されています。

○ 東京都では、最大震度7の地域が出るとともに、震度6強の地域が広範囲に発生する。板橋区では、震度6弱の地域が広範囲に発生し、区北部の一部で震度6強となる。○ 建物被害は、区部の木造住宅密集地域を中心に発生する。○ 死亡は揺れを原因とするものが多く、負傷は建物倒壊及び火災を原因とするものが多い。○ 道路や鉄道の橋梁などの被害は、区部の震度6強以上のエリア内で発生する。ほとんどの鉄道は一時運行停止し、また緊急輸送道路の渋滞も発生する。○ ライフラインの被害は区部東部に被害が多く、板橋区では区部東部と比較して被害が少ない。○ 避難者は、1日後にピークを迎える。○ 鉄道等の運行停止により、大量の帰宅困難者が発生するとともに、ターミナル駅に乗客等が集中し、混乱する。○ エレベーターの閉じ込めが発生する。○ 区湾岸部や河川周辺部では液状化危険度が高い傾向がある。区内北部を中心とした地域においても、液状化危険度が「やや高い」「低い(可能性がある)」とされる地域があり、液状化現象を理由と思われる建物の倒壊が発生する。

と被害想定の概況が出ています。

まずは区全体のことを知り、次に「自分の地域がどのような場所でどのような被害が出る可能性があるのか」ということを知るところから始めるのが「防災」の第一歩かもしれないですね。

板橋区が発信している地区ごとの被害想定をチェックしてみましょう!

例:志村坂上地区
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/ckurashi/076/attached/attach76382_2.pdf

「板橋区 被害想定◯◯地区」と◯◯にお住まいの地区名を入力して検索してみてください!

次回は避難所の取り組みについてお伝えします。

(了)

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