目指す的は“五輪” 横須賀の中学1年生、エア県内初認定

「年少射撃資格認定証」とエアライフルを手にするギャンビルさん=くりはま花の国エアライフル場

 横須賀学院中学校1年のギャンビル・ウィリアム海音(かいと)さん(12)=横須賀市=が4月、競技用のエアライフルを18歳以下でも使用できる「年少射撃資格認定証」を県内で初めて取得した。小学4年から始めたビームライフルの実力を評価されて県公安委員会から交付され、五輪種目のエアへの念願の転向を果たした。目指すは2024年のパリ五輪での日本代表だ。

 エアは金属製のペレットを、ビームは電子ビームを、それぞれ10メートル先の的に向かって放ち、得点を競う。エアは原則、18歳以上でなければ使用できない。一方、ビームはエアと違って弾が出ないため、銃刀法の規制も年齢制限もない。

 幼い頃からおもちゃの銃が好きだったギャンビルさんは10歳からビームを始め、くりはま花の国の射撃場(同市神明町)で腕を磨いてきた。

 その実力は全国トップクラスだ。昨年10月に新潟県で行われた全国大会の小学生の部で優勝。今年2月に同射撃場で開かれた小学生最後の全国大会でも、小学生の部でトップに輝いた。

 ただビームは五輪種目に選ばれていない。将来の夢に五輪代表選手を据えるギャンビルさんは、以前からエアへの転向を考えており、そのために認定証を得る必要があった。

 主にビームで好成績を収めた10~17歳は、体育協会などからの推薦を受け、公安委員会の講習を修了すれば、指導者の下、エアの練習や競技に参加することができる。さらにエアでも成績を残せば、「射撃エリート」に推薦され、14~17歳でエアの所持が許される上、五輪など国際大会にも出場できる。

 ギャンビルさんは県体育協会などから推薦され、県公安委員会の講習も修了し、4月23日に認定証が交付された。夢への第一歩に、「応援してくれたり、支えてくれたりしたみんなのおかげ」と感謝の言葉を口にする。

 5月11、12の両日には、同射撃場で開かれたエアの国体予選にオープン参加し、エアデビューも飾った。父で米海軍所属のポールさん(49)、母の千夏さん(46)が見守る中、プレッシャーにも負けず、4段を取得した。

 6月下旬に埼玉県内で開かれる大会への出場を目指し、練習に励んでいるギャンビルさんは「みんなで並んで撃つのが楽しい」と競技の魅力を語り、「ビームに比べ、エアはこつをつかむのが難しいけれど、早く慣れたい」と笑顔で話した。

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