2019年、もっとも“売れそうなクルマ”とは!? 自動車評論家に聞いてみた

ダイハツ 新型タント(プロトモデル)

ダイハツ 新型タント

今後正式に発売される新型車の中で、売れ行きが最も伸びるのはダイハツ 新型タントだ。その理由はまず、今は軽自動車が一番の売れ筋カテゴリーで、新車として売られるクルマの40%近くを占めることだ。しかも軽乗用車の50%近くが、全高を1700mm以上に高めてスライドドアを装着した車種だから、ダイハツ タントはホンダ N-BOXやスズキ スペーシアと並んで、好調に売れる日本車の真ん中に位置する。

(左)現行型タント (右)新型タント[プロトモデル]

新型タントは人気車とあって現行型の基本路線を踏襲しており、外観の印象はあまり変わらない。それでも現行型の欠点は徹底的に見直される。後席のサポート不足が解消されて座り心地が上質になり、軽自動車ながらも大人4名が長距離ドライブを快適に楽しめる。

運転感覚も向上して、曖昧だった操舵感が正確になった。走行安定性も高まり、特に高速道路のカーブを曲がる時など、背の高い軽自動車ながらも安心できる。

そして軽自動車で初採用の駐車支援システムなども採用され、車間距離を自動制御できる全車速追従型のクルーズコントロールも備わる(ただし電動パーキングブレーキが装着されないため、日産 デイズと異なり、停止して約2秒後には再発進してしまう)。競争の激しいカテゴリーとあって、さまざまな機能を向上させている。

ホンダ 次期フィット

ホンダ フィット

※写真は現行型のホンダ フィット

ホンダ 次期フィットは、販売店によると2019年8~9月に予約受注を開始して、東京モーターショー2019で正式公開される。コンパクトカーの主力車種だけに注目度も高い。

歴代フィットの特徴は、ボディがコンパクトなことに加え、全高も立体駐車場を使いやすい寸法に抑えながら、室内を広く確保していることだ。燃料タンクを前席の下に搭載する独自の設計により、空間効率を向上させてきた。この特徴はフィットの魅力の中核だから、次期型も踏襲する。

その上で次期フィットは、コンパクトカーのために新開発されたスポーツハイブリッドi-MMDを新たに搭載する。発電機と駆動用モーターを搭載しており、通常の走行では、エンジンの力で発電を行ってモーターがホイールを駆動する。そのために加速は滑らかだ。エンジンが発電に専念できるため、効率の良い回転域を多用できるから、実用燃費も向上させやすい。ノート e-POWERも似たシステムを採用するが、機能はi-MMDがさらに充実している。

緊急自動ブレーキを作動できるホンダセンシングは、昼間の自転車や夜間の歩行者検知も可能になる。パーキングブレーキが電動化され、車間距離を自動調節できるクルーズコントロールは全車速追従型に改善される。

外観の基本デザインは先代型を踏襲するが、キャラクターラインを抑えて、ボディパネルの面にボリュームを持たせるから見栄えが上質だ。外観から機能まで、着実に進化させる。

マツダ CX-30

マツダ CX-30 欧州仕様

マツダ CX-30は、販売台数が次期タントやフィットほど伸びないものの、クルマ好きには関心が最も高い新型車だろう。コンパクトなSUVで、全高は立体駐車場を使いやすい高さに抑える。全長は同じマツダのCX-3よりも長く、後席の足元空間に余裕が生まれ、4名で乗車しても窮屈ではない。

その一方でボディサイズはCX-5よりもコンパクトだから、運転がしやすい。しかも全高を抑えたから重心も低く、プラットフォームやサスペンションはMAZDA3と同じ新開発になるため、走行安定性を高めやすい。つまりCX-30は、CX-3とCX-5のメリットを兼ね備えたSUVになりそうだ。

エンジンはガソリンが2リッターと、圧縮着火方式を使ったスーパーチャージャーも備える2リッターのスカイアクティブXになる。これに1.8リッターのクリーンディーゼルターボも加わる。

価格と性能のバランスを考えると、ディーゼルが人気を高めそうだが、ほかの2つのパワーユニットにも魅力がある。価格設定は、2リッターのガソリンを搭載する買い得グレードが、250~260万円と予想される。上質な内装と運転感覚、充実した安全装備などを考えると、妥当な価格になるだろう。

[筆者:渡辺 陽一郎]

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