ボールを地面に落とさずに触り続けるリフティング。試合中に使う場面はほとんど見られない。そんなリフティングの技術はサッカーに必要なのかどうかを考察する。
試合でほとんど使うことのないリフティング
サッカーをやったことのある人なら1度はやったことがあるであろうリフティング。ボールを地面に
落とさずに触り続けるというものだが、このリフティングは試合中に使う場面はほとんど見受けられない。
試合中にリフティングをした場面というと、元名古屋グランパスのピクシーことストイコビッチがJリーグ、名古屋グランパスでプレーしていた際、大雨の試合でリフティングでドリブルしたシーンが真っ先に思い浮かぶのではないだろうか。
最近ではリフティングから派生したフリースタイルフットボールという新しいスポーツも存在する。
筆者である私は個人レッスンを行うサッカースクールを展開しているが、「リフティングが苦手」「リフティングができるようになりたい」という依頼が非常に多い。それだけ、サッカー少年や
保護者の頭を悩ませている現状がある。
リフティングの必要性とは!?
前述した通り、試合で使う場面は皆無のリフティングだが、果たしてサッカーに必要な技術なのだろうか。プロの選手でもリフティングが当たり前のように1000回、2000回、10000回できる選手もいれば、中には100回以下の選手もいるようだ。
リフティングが上手い選手が必ずしもサッカーが上手いと言えるわけではないようだ。リフティングはたしかに試合ではほとんど使わない。しかし、サッカーの基礎とボールコントロールやボールの感覚を身に付けるという意味ではリフティングは有効ではないだろうか。リフティングをすることによって、「足のどこでどのような触り方をすればボールがどう飛ぶか」を理解することに繋がる。また、浮いているボールの処理する技術に繋がる部分もあるだろう。
テクニシャンと呼ばれる選手はリフティングが上手い?
リフティングの上手い選手と言えば、読者のみなさんは誰を思い浮かべるだろうか?サッカー選手が
リフティングをする場面を見る機会はそう多くないだろう。人気サッカー番組のやべっちFCでは
プロ選手が矢部浩之にリフティングの宿題を出すコーナーやしりとりをしながらリフティングをする
しりとリフティングのコーナーが人気だ。
リフティングは回数を単純に増やすだけでなく、足の色んな箇所を使ったり、ボールを挟んだり、乗せたり、様々な技を習得することもできる。コツを掴んで練習すれば成功に繋がることが目に見えて分かりやすく、成功体験を作りやすいのも特徴だ。目的や意図をはっきりさせることで、少なからずサッカーの技術向上に役に立つのではないだろうか。
同番組で矢部に宿題を出した経験のある小野伸二(現・コンサドーレ札幌)や元ブラジル代表のロナウジージョといった選手に共通するのは卓越したテクニックを持っていることだろう。彼らのような
いわゆるテクニシャンと呼ばれる選手やメッシや中島翔哉のようにドリブラーはリフティングが上手い選手がほとんどだ。試合で使う機会の少ないリフティングだが、サッカーに必要な技術に多かれ少なかれ影響していることは間違いないだろう。
そして、大切なのはクラブやスクールの練習でリフティングをする際に指導者が子ども達にその目的や意図をはっきりと伝え、リフティングの必要性や効果を理解してもらうことだろう。リフティングに限らず、「なんとなく」やっていては練習の効果は薄い。目的や意図を子ども達に理解してもらい
練習に励むことが必要だろう。