衆参ダブル選は?

 時代は令和に移った。来日したトランプ米大統領が歓待された。このところ日本には「ほんわかした空気が漂っている」と、立憲民主党の長妻昭代表代行は言う。こうした波風の立たないときに、目ざとく衆院解散に打って出るのが安倍晋三首相という人だ、と▲先週、東京であったメディア勉強会での講演で、長妻氏は「衆参同日選」への警戒心を隠さなかった。「首相は多く勝てると踏めば解散する。理屈(理由)は後でくっつける」▲振り返れば、首相は2014年、「道半ばの経済政策を前に進めるかどうか判断を仰ぎたい」と言い出して衆院解散し、17年には「消費税の増税分の使い道を教育の無償化へと見直したい」などと言って解散した▲どちらもあまりに唐突で、解散を打つほどの大義には思えず、首をひねった人も多かったろう。その「いきなり解散」の前例があり、昨今も衆参ダブル選の観測が消えずにいた。ダブルは見送りという見方が強まってはいるが、なおも解散論はくすぶる▲消費税の増税延期はもうしない、だから解散の理由がない-と自民幹部らは言う。これを不意打ちのダブル選に持ち込むためのポーズとみる向きもまだあって、ややこしい▲首相の腹は固まったかどうか。選挙戦の前の神経戦はピリピリとして「ほんわか」どころではない。(徹)

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