第67回NHK杯県高校野球大会最終日は9日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで決勝が行われ、創成館が佐世保実に5-4で競り勝ち、2年ぶり5度目の優勝を飾った。
創成館は三、四回に1点ずつを失ったが、三回は松永と松尾、四回は松本と大久保の長短2連打ですぐに追いついた。2-2の七回無死一、二塁から、深見の右前適時打で勝ち越し。続く松本の右犠飛と山本の中越え適時二塁打でさらに2点を加えた。投げては冨田、高橋、坂口の右腕3人が粘投。バックの好プレーもあって要所を締め、大量点を許さなかった。
佐世保実は丹羽が三回に先制の右前適時打を放ち、投げては5回0/3を2失点と力投。3点を追う八回は1死満塁と攻め、船橋の適時打などで1点差まで追い上げたが、あと一歩届かなかった。
夏の甲子園出場を懸けた第101回全国高校野球選手権長崎大会は7月11日、55チームが参加して開幕。組み合わせ抽選会は今月14日に大村市で実施する。
■中堅牛嶋 完璧な本塁送球
例年に増して「どこが勝ってもおかしくない」と言われている今季。“夏の前哨戦”を制したのは、ここまで影を潜めてきた創成館だった。昨秋、県大会初戦敗退から始まったチーム。稙田監督は苦戦しても敗戦しなかった選手たちの成長を認めた上で「夏に発揮してこそ本当の力」とくぎを刺した。
勝敗を大きく分けたのは八回。5-2から1点差に迫られた。なおも2死一、二塁から中前打を浴びたが、中堅牛嶋が二走を本塁補殺。完璧なノーバウンド送球に球場は沸いた。入学後から肩の故障に悩み、最終学年で背番号をつかんだ苦労人は「百点でいいかな…。気持ち良かった」と白い歯を見せた。
強力な投手陣を擁して明治神宮大会準Vなど全国で結果を出した昨季と比べて、今季はどちらかといえば打撃のチーム。ただ今大会、準々決勝は海星に1-0、準決勝は九州文化学園に3-1とやや迫力に欠け、決勝も一つの守りが勝利を呼んだ。選手たちにとっては伝統の堅守の重要性を再確認する試合にもなったといえるだろう。
今大会の結果次第では先輩たちが県内で唯一、10年連続で守ってきた夏のシード権を失う恐れもあった。稙田監督は「今年はノーシードからの方がいいのかも」と腹をくくった時期もあったが、選手たちが悔しさをバネにそれを許さなかった。
昨夏の甲子園で1年生ながらベンチ入りした松尾がチームの思いを代弁した。「あと1カ月も自分を追い込む。甲子園に出るため、ここに来たんだから」