「歩いても暮らしても 楽しい商店街に」雲仙・多比良、神代両地区

サクラと看板が設置された神代地区の商店街=4月、雲仙市国見町

 長崎県雲仙市国見町にある多比良、神代両地区の商店街が、住民主体のまちづくりに着手して2年半が過ぎた。5年計画で景観整備や新商品開発を進めていく方針で、町にはヤマボウシやサクラの彩りも増えた。折り返し時期を迎えた商店主らは「腰を据えて、まちの魅力を高めていきたい」と意気込む。

 両商店街は約30年前、多比良が約80店舗、神代が約20店舗近くあったが、現在はともに半数以下に減少。活気は失われつつあった。現状を打破しようと2017年1月、島原半島観光連盟と協力して住民主体のまちづくりに乗り出した。
 コンセプトは「歩いて楽しい、暮らして楽しい商店街」。多比良地区にはヤマボウシ、神代地区にはサクラをそれぞれ約10本を植樹。花とまち歩きを楽しんでもらうため、木々のそばにベンチを設置。店先には一押し商品を書いた共通デザインの看板を設置して、統一感を演出した。
 これらの取り組みは、今年3月末で同連盟の専務理事を退任した坂元英俊さん(65)がまとめ役を担ってきた。国の地域力創造アドバイザーとして認定されている坂元さんの手腕を買い、雲仙市は4月以降もまとめ役を依頼。坂元さんは「多比良には熊本とつなぐフェリーの港、神代には国の重要文化財の鍋島邸がある。何より島原鉄道があるのが強み」と強調する。
 4月、両地区の商店主らと、島鉄の永井和久社長との意見交換会が島原市の同社であった。同社側からは、他県で商店街とローカル線が連携した事例などが示され、商店主側からは「乗車券に買い物割引を付けるサービスは可能か」などの提案もあった。永井社長は「全24駅で目玉をつくろうとしている中、両地区の活動は大変ありがたい。駅前のにぎわい創出に向け、協力していきたい」と、前向きな姿勢を示す。
 取り組みから2年半。人通りにまだ目立った変化は見られないが、神代地区の古賀弘志さん(59)=旅館末廣代表=は「まちに花木が増え、住民同士でまちづくりを考える機会が増えた」と振り返る。「今後もじっくり腰を据えてやる。暮らしやすいまちを目指し、魅力向上につなげていきたい」と力を込めた。

島鉄の永井社長(右から2人目)と意見交換する商店主ら(左)=島原市弁天町、島鉄本社

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